研究課題/領域番号 |
24241054
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
鈴木 敦夫 南山大学, 情報理工学部, 教授 (70162922)
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研究分担者 |
腰塚 武志 南山大学, 情報理工学部, 教授 (50011094)
三浦 英俊 南山大学, 情報理工学部, 教授 (30306253)
佐々木 美裕 南山大学, 情報理工学部, 准教授 (20319297)
石崎 文雄 南山大学, 情報理工学部, 教授 (60257970)
小市 俊悟 南山大学, 情報理工学部, 講師 (50513602)
大山 達雄 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (30134323)
田口 東 中央大学, 理工学部, 教授 (50114533)
鳥海 重喜 中央大学, 理工学部, 助教 (60455441)
栗田 治 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40211891)
李 明哲 福岡大学, 経済学部, 教授 (00320268)
田中 健一 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (90408724)
古田 壮宏 奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (60453825)
稲川 敬介 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (50410759)
鵜飼 孝盛 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 研究員 (20453540)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | オペレーションズ・リサーチ / 都市のOR / 都市内交通ネットワーク / 都市内・都市間流動 / コンパクトな都市空間 / 最適配置問題 / シミュレーション / 時空間ネットワーク |
研究概要 |
都市内の災害時の流動に関する総合的な研究として、本研究では3つの主要なテーマを設置した。ここでは、これに従って研究実績を述べる。それぞれの成果は研究発表欄の論文、学会で発表した。 1) 交通ネットワークシステムの頑健性と効率性の評価: 時空間ネットワークを用いて、低頻度の交通システムの効率性の評価、海上交通の頑健性の評価、ローコストキャリアの航空路編成問題、災害時の鉄道の混雑現象のシミュレーションを行った。また、鉄道網のフロー補足型問題、鉄道路線補修計画の問題について研究を行った。特に海上交通の頑健性はエネルギーの海外調達が重要になる災害時に備えて、また鉄道の混雑現象のシミュレーションは災害時の帰宅困難に備える意味で重要な成果である。 2) 緊急時の都市内・都市間流動に関するモデル: 救急車の効率性の評価、都市内の流動を把握するためのセンサーネットワークの基礎理論、災害時の救援物資の輸送計画について研究を行った。特に救急車の効率性はシミュレーションを系統的に行うとともに、あらたな数理モデルも考案した。また災害時の救援物資の輸送計画の研究では、仙台市で東日本大震災の際に物資の輸送の担当者にインタビューを行い、名古屋市での救援物資の輸送計画についての分析・提案を行った。 3) コンパクトな都市空間の設計原理: メッシュデータによる低人口密度地域の人口推計、電気自動車の充電ステーションの配置問題、医療の地域格差の研究を行った。また、基礎研究として、2施設のウェーバー問題(最適配置問題の一種)の厳密解法の研究を行った。人口減が進む中で、コンパクトな都市空間を実現するためには将来の人口推計は基礎的なデータとなる。また、コンパクトな都市内での交通機関としての電気自動車の充電ステーションの効率的な配置が必要である。また、コンパクトな都市では最適配置のモデルを利用した施設の配置が重要になる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の3つのテーマについて、より詳しく達成度を述べる。 1) 交通ネットワークシステムの頑健性と効率性の評価: 当初設定した目標に対して、時空間ネットワークを用いた研究はより進んでいる。首都圏の時空間ネットワークに加えて、中京圏の時空間ネットワーク、さらに航路の時空間ネットワークを利用して、様々なシミュレーションを行った。ただし、最短経路数え上げを利用した研究と高速道路の効率的な運用の研究に関しては、やや遅れている。 2) 緊急時の都市内・都市間流動に関するモデル: 緊急時の物資の輸送、緊急車両の最適配置、最適運用、センサーネットワークの基礎理論に関しては当初の計画より大幅に進んでいる。人口の変遷については、3)での研究と関連してほぼ計画通りに進捗している。ただし、クリギングを利用しての研究はやや遅れている。 3) コンパクトな都市空間の設計原理: 都市の施設の最適配置モデルについては、新たなモデルを提案しており、計画よりも進んでいる。また時間差通勤については、時空間ネットワークを用いた1)の研究と関連しておおむね計画通りに進んでいる。 また、研究発表については、論文数12編、口頭発表31回と、おおむね計画通りである。計画していたワークショップは計画どおり2回開催し、公開研究会はISOLDEXII(最適配置問題の国際ワークショップ、開催したワークショップの1つ)で十分な研究発表の機会があったと判断して、今年度は開催しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究はほぼ計画通りに進捗しているが、テーマによっては進捗状況が遅れているもの、また社会情勢によって研究する価値が薄れてきたものもあり、今年度はそれらを今後も行うかどうかを精査しながら研究を進めていく。また、研究を進める過程で、災害時の医療機関の重要性がわかってきたので、大学病院の教授を分担者に加え、救急医療、また病院の運営の効率化についてあらたなテーマとして設定する。また、今年度からは公開研究会を計画通りに開催する。今後の各テーマの具体的な研究計画は以下の通りである。 1)電車の運行を表す時空間ネットワークにおいて, ある箇所に不具合が生じた場合の全体への影響を評価する方法を考察し, 首都圏電車ネットワークへ適用する.大都市交通センサスデータなどの情報に基づくO-D交通需要分布, 道路の混雑度や信号の待ち時間などの要素を取り入れて, マルチ経路選択基準モデルを作成する。さらに実際のデータと比較して, モデルの妥当性を検証する.前年度に開発したモデルを, いくつかの地域の都市道路網や高速道路網に適用して分析を行い, モデルの汎用性, 有効性を検討する. 2)現実の相互作用データを使って, アルゴリズムの有効性を検証する.前年度に続いて, クリギング手法を用いた旅行時間推定法を検討し, その後, 現実のデータを使って実証分析を行う.前年度の検討結果を基にして, 地域を限定して, 比較的小規模な地理情報システムを作成してみる. 有効性が確認されれば, 規模の拡大を試みる. 3)分布交通量モデルのパラメタに依存した適切な都市空間設計の提案を作成する.前年度で得られた成果を活用して, モデルの妥当性を検討する.前年度作成したモデルを使って,避難場所の最適配置を目指すと, 理想的な都市空間がどのように変化するのか分析する.
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