研究課題/領域番号 |
24241060
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐竹 健治 東京大学, 地震研究所, 教授 (20178685)
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研究分担者 |
谷岡 勇市郎 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40354526)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 津波 / 巨大地震 / 津波堆積物 |
研究概要 |
2011年東北地方太平沖地震については数多くの震源断層モデルが提案されており、宮城県沖の震央付近で数十m以上という大きなすべりが生じたことが明らかになっている。ところが、津波の高さは震央から約100 kmも北の岩手県沿岸で最大となっており、この原因は不明であった。日本沿岸や沖合の水位計・水圧計・GPS波浪計に記録された津波波形のインバージョンにより、震源断層上のすべり分布の時空間分布を推定したところ、破壊開始の約2分後にプレート境界のやや深部で25 m以上の大きなすべりが、さらにその1分後以降に海溝軸付近で巨大なすべり(約70 m)が発生したことがわかった。岩手県沿岸で津波が大きかった原因は、海溝軸付近で遅れて発生した大きなすべりであった。このすべりは,津波地震として知られている1896年明治三陸津波地震と同じような場所で発生したが、2011年の方が大きかった。いっぽう、仙台平野への津波の浸水は、869年貞観地震のモデルとして提出されていたものと同様のプレート境界深部のすべりが主な原因であった。すなわち、東北地方太平洋沖地震は、869年貞観地震のようなプレート境界深部のすべりと、1896年明治三陸地震のような海溝軸付近のすべりがほぼ同時に発生したものであることがわかった。 千島海溝沿いの超巨大地震の震源域の東側がどこまで破壊したかを推定するには、北海道の根室海峡沿岸の津波堆積物調査を実施することが必要となる。別海町から標津町の臨界低地において津波堆積物調査をおこなった結果、古津波堆積物の可能性の高い砂層2層を検出した。これに加えて今までの津波堆積物調査結果を総合的に判断すると、2500年前から350年前の間には,北海道東部の太平洋沿岸を襲う大規模な津波が4回発生したと考えられる。また,そのうちの2回は,根室海峡沿岸に到達した可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度は、2011年東北地方太平洋沖地震について、すべりの時空間分布も考慮した再解析などを行ったため、当初の計画よりもやや遅れた。そのため、研究費の一部を翌年に繰越した。
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今後の研究の推進方策 |
やや遅れ気味ではあるが、当初の計画に沿って実施している。今後も確実に研究を進めていく予定である。
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