研究課題/領域番号 |
24241061
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
汪 発武 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (10324097)
|
研究分担者 |
志比 利秀 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (60311792)
酒井 哲弥 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (90303809)
丸井 英明 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 教授 (10219545)
松本 健作 群馬大学, 理工学研究科, 助教 (90302455)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 土砂ダム崩壊予測 / パイピング現象 / 自然電位 / 地温 / 微動アレイ |
研究概要 |
1)室内模型実験装置を開発した。透明アクリル水槽の中に、土砂ダム模型を設置し、上流側の水位を上昇させ、土砂ダム模型を崩壊させる。レザー変位計、間隙水圧計、濁度計、ビデオカメラなどを用いて、土砂ダム模型の崩壊過程を計測・観測した。また、土砂ダムの構成材料を変えて実験を行い、異なる材料の土砂ダム崩壊様式の相違点を考察した。 2)屋外で大型土砂ダム模型を構築し、パイピング現象を人為的に発生させ、ダム表面での自然電位の変化を計測した。それと同時に、ダム表面の沈下量変化も計測した。 3)2011年に紀伊半島豪雨によって、和歌山県及び奈良県において発生した大規模土砂ダムの現地調査を実施し、土砂ダムの形状、粒度構成などの性質について調べた。また奈良県における赤谷土砂ダム、栗平土砂ダムに対して、チェーン微動アレイ探査、1m深地温探査、自然電位探査を実施した。チェーン微動アレイ探査によって、土砂ダムの内部構造を二次元的に可視化することが可能となり、パイピング現象の発生危険度評価に使える見通しができた。また、地下水流が存在している断面の上で計測した時、それによるノイズも検出され、有益な情報が取られた。1m深地温と自然電位の計測結果に良好が対応関係があり、地下水流の検出に適用できることが分かった。 4)、ネパール西部アンナプルナ地域を事例に土砂ダムを形成した地すべり地形とその堆積物の状況を観察した。この地滑りダムは1998年に発生したもので、地すべりそのものは人工的に削り取られたが、その地滑り堆積物の断面は現在でも観察可能である。この地滑り堆積物の場合、明らかに全体として上方に細粒化する特徴が見られた。この場合、より空隙の大きい堆積物が土砂ダム下部に存在するため、そこではパイピングの可能性が高くなることが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
室内実験、屋外大型模型実験、現地調査・計測が予定通りに進めているが、初年度購入予定のチェーン微動アレイ装置が製作遅れていることで、納品が遅れている。 それによって、現地の計測回数は予定より大幅に少なくなっている。
|
今後の研究の推進方策 |
チェーン微動アレイ装置が導入されるまで、室内模型実験と屋外大型模型実験を前倒しに実施し、チェーン微動アレイ装置が導入できた時点で、集中的にチェーン微動アレイ探査作業を行う。また、土砂ダム以外の地すべり現場に開発しておる手法を適用し、データの蓄積を図るとともに、多様な現場に対応できるように、研究手法を充実させる。
|