研究課題/領域番号 |
24241064
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹田 潤二 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50163407)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 疾患関連遺伝子 / ヒトiPS細胞 |
研究概要 |
ヒトiPS細胞は、樹立された細胞ごとに遺伝的バックグランドが異なるだけでなく、多くの表現型に影響を与える劣性変異を内蔵している。つまり、樹立されたiPS細胞ごとに両アレル変異導入が可能な細胞に変換させなければならない。そのために、マウスES細胞で成功したTetカセットを有するターゲッティングベクターを準備し、ヒトブルーム遺伝子をドキシサイクリンで制御できるアレルに変換する。ブルーム遺伝子を抑制すると体細胞で組み換え頻度が上昇し、片アレル変異から両アレル変異効率が上昇することは知られている。ヒトiPS細胞へのターゲッティングの効率は著しく低いので、ブルーム遺伝子の翻訳開始点が存在するエクソン2を認識するTALEN(Transcription Activator-Like Effector Nuclease)を用意し、ヒトiPS細胞への片アレルターゲッティングの効率を上昇させることに成功した。 TALENを用いることで片アレルターゲッティングに成功したが、ドキシサイクリンでブルーム遺伝子の発現を制御するためには、ターゲッティングベクターを両アレルに挿入しなければならない。現在までのところ、頻度は低いが、一度のトランスフェクションで両アレルにターゲッティングベクターが挿入された例が観察されている。この両アレルターゲッティングの効率を上昇させることが今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H24年度にTALENを用いたブルーム遺伝子への片アレルターゲッティングには成功した。ただ、現在のところ、両アレル同時にTetカセットが挿入されることは、ごく稀である。本来ドキシサイクリンでブルーム遺伝子の発現を制御するためには両アレルにTetカセットを挿入する必要があるので、その挿入効率を高める必要性がある。 Tetカセットをブルーム遺伝子に挿入したところ、ドキシサイクリンの添加前からブルーム遺伝子の発現が低下していた。そこでTetカセット自体の改変を行い、ブルーム遺伝子にこの改変したTetカセットを挿入したところ、ブルーム遺伝子の発現が正常であるTetカセットの構築に成功した。 今後、この“改変Tetカセット”を利用してプロジェクトを進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
① “改変Tetカセット”の挿入によりブルーム遺伝子の制御が可能になったと思われるので、両アレルに“改変Tetカセット”を挿入し、ブルーム遺伝子の発現を低下させるためドキシサイクリンを添加後、姉妹染色体間の組み換え頻度が上昇しているかどうか検討する。 ② 効率よく“改変Tetカセット”をブルーム遺伝子に挿入するためにTALENベクターを改変する。具体的には、TALENのN末とC末を短くし、活性を上昇させてみる。さらにFok1部分をより活性の高いものへと変換してみる。
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