研究課題
サンゴ礁は熱帯雨林と並んで最も生物多様性に富む場所である。しかし最近の地球規模での環境の悪化に伴いサンゴ礁の消失が続いており、生物多様性維持の観点からもサンゴ礁の保全が叫ばれている。サンゴ礁は造礁サンゴによって作り出されるが、造礁サンゴはカッチュソウ(Symbiodinium)と共生関係を維持することによってこの能力を獲得している。従って、サンゴとSymbiodiniumの共生関係の成立と、環境ストレスによる共生関係の崩壊(白化とその後の死)のゲノム科学的研究は急務である。コユビミドリイシ(Acropora digitifera)は、1998年のエルニーニョ現象による海水温の上昇によって沖縄で最も被害を被った種である。我々は2011年にこのサンゴのゲノムを解読した。その結果、ミドリイシ属サンゴはアミノ酸の一種システインを自身で合成することが出来ず、それをSymbiodiniumに依存していることが分かった。そのため、ストレス下でサンゴからSymbiodiniumが離脱すると、他のサンゴ(キクメイシなど)に比べてより早く白化し死にいたったのではないかと推論した。サンゴとSymbiodiniumの共生関係を理解するためには、サンゴのゲノムのみならずSymbiodiniumのゲノムを解読する必要がある。そこで、本研究ではSymbiodinium minutum(クレードBに属する)のゲノムを解読した(カッチュウソウとしては世界で初めてのゲノム解読)。そして、この藻類のゲノム中では遺伝子が一方向に並んでいることや、染色体凝集にはバクテリア由来の遺伝子が数多く使われていることなどを明らかにした。また、カッチュウソウの色素体のゲノムが非常退縮的なものになっていることも明らかにした。現在ウスエダミドリイシおよびクレードA, C, DのSymbiodiniumのゲノム解読を進めている。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://marinegenomics.oist.jp