研究課題
本課題では、各糖転移酵素に特異的な標的タンパク質の大規模同定を行うために、糖転移酵素の遺伝子ノックアウト(KO)マウス群を用い、糖鎖キャリア分子(糖ペプチド)をレクチン捕集して、野生型マウスとKOマウスとの比較グライコプロテオーム解析を行った。昨年度までに、野生型及びB4galt1(-/-)マウス肝臓より、そのキャリアタンパク質を1000分子種以上同定し、標的分子の分子性状に共通した特徴・傾向を見出した。今年度はLewis x構造(Galβ1-4(Fucα1-3)GlcNAc-R)を合成する、α1,3-フコース転移酵素9(Fut9)に着目し、KOマウスを用いた解析を行った。Fut9(-/-)マウス腎臓のグライコームを質量分析法により解析した結果、Lewis型フコースの消失だけでなく、様々な構造変化が検出された。ついで、Lewis型フコース糖鎖と結合しているキャリア分子を同定するため、AALレクチンによってフコシル化糖鎖ペプチドを捕集し、IGOT-LC/MS法(Kaji et al (2003) Nat Biotechnol.)で候補タンパク質および糖鎖付加位置を同定した。また、野生型マウスにおけるAAL結合糖ペプチドには、Lewis型フコースをもたず、コアフコースのみをもつ糖ペプチドも共存するため、糖鎖付加部位ごとのグライコーム情報を取得する新規グライコプロテオミクス技術を用いて、Lewis xキャリアを選別、同定した。以上の様に、グライコプロテオミクスの手法・技術を用いることで、糖転移酵素それぞれの糖鎖のキャリア糖タンパク質群を効率良く同定出来ることが示された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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