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2013 年度 実績報告書

ラオス全土水質マップ作成による地域ジオ/エコヘルス研究の推進

研究課題

研究課題/領域番号 24241083
研究機関長崎大学

研究代表者

門司 和彦  長崎大学, 国際健康開発研究科, 教授 (80166321)

研究分担者 中野 孝教  総合地球環境学研究所, 研究高度化支援センター, 教授 (20155782)
石川 智士  総合地球環境学研究所, 研究部, 准教授 (40433908)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワードラオス / 水質 / 安定同位体 / マラリア
研究概要

ラオスのなかでも公衆衛生に関する基本的情報が得られ、また水試料を得ているサワナケート州を中心に研究を実施した。とくに水同位体を利用して水循環の実態を明らかにすると共に、各種水質項目を分析して自然-生活環境が水質に与える影響を解析し、新知見を得つつある。ラオスサワンナケート県の西部6郡おいて、全集落の環境水492試料を採集し、その含有元素と安定同位体比の分析を現在進行中である。
さらにサワンナケート県東部,ベトナム国境のセポン郡において,マラリア媒介蚊が発生する水域の特性を調査した。マラリア媒介蚊は,ベトナム戦争時の爆弾投下によってセポン郡に多数存在する穴でも産卵することが確認されているが,それ以外にも,水牛の足跡に溜まった水たまりや,少数民族がカエルを捕まえるためにおたまじゃくしを発生させる水たまりなどで産卵していることが確認された。これらの水も採集し,その化学的成分と安定同位体を検査する予定である。
また,広域での水採集を確実にできるように現地の調査協力者のトレーニングを実施し,平成26年度に多くの水サンプルを収集できる体制を構築した。特に,スマートフォンを使って,採集日時,採集場所がわかること,QRコードを撮影することにより,現地での水情報(温度,また,地上水か否か,住民の利用状況等)とサンプルを一致させる方法を確立した。まだ,末端の採集者がうまく利用できるには時間を要するが,現地の責任者は十分に理解できており,平成26年度以降に水採集が推進できる体制が確立した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ラオス・サワンナケート県での水の採集が進み、分析が行われた。
サバナケット州で採水した176試料の水質結果を解析し、稲作に利用している地表水は雨季の水に依存するが、生活に利用している井戸水は年間を通した降水に由来することが明らかになり、研究目的の一つであるラオスの水循環に関する具体的な成果を得つつある。
水質に関しては多項目にわたる水質項目を分析した結果、マンガン濃度が比較的高いことを除けば重金属汚染も軽微であり飲用できることや、コロイドなどの微粒子に由来する元素に富むことなどが判明しつつある。また従来から知られているラハナム地域に分布する高塩分の地下水が、地下の岩塩層が降水起源の水に溶出した結果であることなどが明らかになった。

今後の研究の推進方策

現地での水のサンプル採集に力をいれるために,現地スタッフの雇用とトレーニングが重要である。平成25年度にその基礎を構築することができた。
すでに300以上の水試料を採取しており、サバナケット州においては年度内に分析を終了する予定である。この2年間の研究により、ラオスの水の特徴、また井戸水が地域の特徴を反映することが明らかになった。これらの成果を論文の形でまとめることを目指す。
一方、水の採取方法および分析手法は確立できているので、今後は全土にわたって水を採取する予定である。対象地域は広いこと、また河川水や井戸水を現地で採取するには時間がかかることから、確立しつつある公衆衛生のネットワークを活用しながら飲用水を中心に採取し、総合地球環境学研究所で分析と解析を進めることで、本研究課題の目的を達成する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] Carbon and oxygen isotope ratios and their temperature dependence in carbonate and tooth enamel using GasBench II preparation device2014

    • 著者名/発表者名
      Kusaka, S., Nakano, T.,
    • 雑誌名

      Rapid Communications in Mass Spectrometry.

      巻: 28 ページ: 563-567

    • DOI

      10.1002/rcm.6799

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effects of terrigenic He components on tritium-helium dating: A case study of shallow groundwater in the Saijo Basin Applied Geochemistry2014

    • 著者名/発表者名
      Mahara, H., Ohta, T., Morikawa, N., Nakano, T., Tokumasu, M., Hukutani ,S., Igarashi, T
    • 雑誌名

      Applied Geochemistry

      巻: 2014 ページ: 1-5

    • 査読あり
  • [図書] 大地をはかる. 総合地球環境学研究所編 地球環境学マニュアル2.2014

    • 著者名/発表者名
      中野孝教
    • 総ページ数
      26
    • 出版者
      朝倉書店
  • [図書] ジオ多様性と生物多様性をつなぐ水質多様性、「ジオパークを楽しむ本、日本列島ジオサイト地質百選」研究連絡誌、No.52013

    • 著者名/発表者名
      中野孝教
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      オーム社
  • [図書] 食の安全と地球環境の保全をつなぐ産地情報マップ、われわれは何を食べているのか、SEEDer、No.92013

    • 著者名/発表者名
      中野孝教
    • 総ページ数
      2
    • 出版者
      昭和堂
  • [図書] 酒と水の多様性. 、HUMAN, v. 52013

    • 著者名/発表者名
      中野孝教
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      平凡社

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公開日: 2015-05-28  

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