研究課題/領域番号 |
24242006
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 大正大学 |
研究代表者 |
加島 勝 大正大学, 文学部, 教授 (80214295)
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研究分担者 |
松本 伸之 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, その他部局等, 研究員 (30229562)
泉 武夫 東北大学, 文学研究科, 教授 (40168274)
和田 浩 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, その他部局等, 研究員 (60332136)
長岡 龍作 東北大学, 文学研究科, 教授 (70189108)
東野 治之 奈良大学, 文学部, 教授 (80000496)
岡林 孝作 奈良県立橿原考古学研究所, その他部局等, その他 (80250380)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 中国美術 / 仁寿舎利塔 / 仏舎利信仰 / 隋時代 / 荘厳 / 舎利容器 / 仏塔 / 文帝 |
研究概要 |
本研究課題は、隋文帝が仁寿元年(601)から三度にわたり中国全土に起塔した仁寿舎利塔の起塔地と関係遺物に関する現地調査を実施し、これにより得られた基礎資料を美術史、考古学、歴史学、保存科学を専門とする研究者が協働で、(1)起塔地の隋以前の歴史、(2)舎利荘厳における儒仏道の習合的意味、(3)仁寿舎利塔の受容史、という新しい観点から総合的に分析し、従来不明な点が多かった仁寿舎利塔の信仰と荘厳の全体像の具体的な解明を目的としている。 以上の目的を達成するために本年度は、以下の調査研究を実施した。 1.現地調査:年度半ばに陝西省・甘粛省・四川省・重慶市を対象地域とし、(1)起塔地での調査と(2)遺物調査を行った。その結果、同州大興国寺(陝西省渭南市大荔県)、隴州薬王寺(同省宝鶏市隴県)、利州大興国寺(四川省広元市千仏崖)、梓州華林寺(四川省成都市三台県)、益州法聚寺(四川省成都市新都区)、涇州大興国寺(同省平涼市涇川県)、瓜州崇教寺(甘粛省敦煌市)の7カ寺の起塔地をほぼ特定することができた。中でも同州大興国寺と涇州大興国寺の2カ寺は仁寿元年(601)の文帝自注(文帝自らが立地場所を指定した)寺院であり、さらに涇州大興国寺は天授元年(690)に則天武后が全国諸州に設けた大雲寺の前身寺院である。その立地場所が特定できたことは特筆される。 2.収集データの整理と解析:1の現地調査で得られたデータを整理し、コンピュータ上に蓄積した。②蓄積された調査データについて研究代表者と研究担者が協働して解析を行なった。 3.研究会:2の収集分データの整理と解析終了後、年度末に中国側研究協力者冉万里氏(西北大学文化遺産学院教授)を招へいし、研究代表者及び研究分担者の参加による研究会を行なった。本年度の調査で得られた結果を協働で分析し意見交換を行い、問題点を整理して次年度の調査研究に備えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【研究実績の概要】の項で述べたように、今年度は年度半ばに陝西省・甘粛省・四川省・重慶市を対象地域として同州大興国寺(陝西省渭南市大荔県)、隴州薬王寺(同省宝鶏市隴県)、利州大興国寺(四川省広元市千仏崖)、梓州華林寺(四川省成都市三台県)、益州法聚寺(四川省成都市新都区)、涇州大興国寺(同省平涼市涇川県)、瓜州崇教寺(甘粛省敦煌市)の7カ寺の起塔地をほぼ特定することができた。しかし年度当初に調査候補地として計画していた隆州禅寂寺(四川省閬中市)と信州金輪寺(重慶市奉節県)の2カ寺は道路事情等により、今回訪れることができなかった。この点は現地の情報収集など準備不足を反省すべきであり、次年度以降、別途調査日程を組んで対応したい。
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今後の研究の推進方策 |
1.現地調査:(1)起塔地での調査:平成2013年度には杭州天竺寺(浙江省)、泉州(福建省)、広州果実寺・循州道場塔寺(広東省)、桂州緑化寺(広西チワン族自治区)、交州禅衆寺(ベトナム・ハノイ)、平成2014年度には徐州流溝(講)寺・海州安和寺(江蘇省)、凞州環谷寺・毫州開寂寺・廬州梁静寺・宣州永安寺(以上安徽省)、囊州上鳳林寺・郢州宝香寺・隨州智門寺・安州景蔵寺・復州方楽寺・蘄州福田寺・荊州開義寺・荊州大興国寺(以上湖北省)、衡州衡岳寺・営州梵幢寺・潭州麓山寺(以上湖南省)、平成2015年度には曹州法元寺以下5ヶ寺(山東省)邢州汎愛寺以下9ヶ寺(河北省)、絳州覚成寺以下7ヶ寺(山西省)、陝州大興国寺以下13ヶ寺(河南省)においてA.起塔地の探索と特定、B.環境調査、C.碑文の調査、D.重修の追跡、を行なう。(2)遺物調査:河北省定県静志寺舎利塔基出土舎利容器(定州市博物館)、山西省長治城西南隅発見舎利容器をはじめとする遺物について図様・器形の調査を行なうとともに、浙江省紹興出土の県印箱(浙江省博物館)や重修遺物に関連する河南省・河北省等出土の棺形舎利容器についても調査を行なう。 2.収集データの整理・解析と分析:データの整理と解析を継続する。 3.国際シンポジウムの開催:最終年度に国際シンポジウムを開催し、研究成果を公開するとともに、開かれた討論の場を設け、その内容を報告書に反映させる。 4.データベースの完成と報告書の作成:最終年度にデータベースを完成させるとともに報告書を作成し、研究成果全体を公開する。
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