研究課題/領域番号 |
24242007
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館 |
研究代表者 |
沖松 健次郎 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 主任研究員 (30332133)
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研究分担者 |
伊藤 信二 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸企画部, 室長 (00443622)
小林 達朗 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 企画情報部, 室長 (10342940)
土屋 貴裕 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 主任研究員 (40509163)
瀬谷 愛 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 主任研究員 (50555133)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 聖徳太子絵伝 / 図様 / デジタル高精細画像 / データベース |
研究実績の概要 |
27年度は、6月に名古屋大・阿部泰郎教授の文化遺産テクスト学研究センター主催の井波絵解きフォーラムに共催として参加、沖松が井波総合文化センターメモリアルホールで「聖徳太子絵伝入門」、土屋が井波別院瑞泉寺で「聖徳太子絵伝鑑賞の場」と題して発表を行った。 調査対象のうち茨城・妙安寺本について、これまで調査先での機動性を優先して35ミリ判相当のデジタルカメラで撮影していたものを、博物館の写真専門職員の協力を得て、博物館のデジタルアーカイブで使用している大判カメラ相当の8000万画素デジタルカメラ機材を用いての撮影も並行して実施した。それにより、より精度の高い画像を蓄積することができ、将来博物館で公開する上で、博物館の他のデジタル高精細画像との質的差をなくし、公開用データベース構築への弾みとすることができた。 また、沖松が所属する博物館と上海博物館との学術交流での調査の中で、本科研の関連調査ということで衡山での実地調査を行い実際の山容や、絵伝に登場する三塔などを確認し、絵伝における衡山の描写、図様について考察するうえでの資料収集を行った。 また、すでに調査・撮影を行った旧観音正寺本と談山神社本において、細かい図様の省略などを確認し、その異同と転写関係について考察を行った。 絹目組成に関しては、博物館に所蔵、寄託される法隆寺献納宝物延久本、嘉元本、川合玉堂氏旧蔵三幅本、旧観音正寺本について顕微鏡撮影・調査を行い、データを集積した。それと同時に、博物館寄託の別の掛幅縁起絵で白色顔料を中心とした蛍光X線分析を行う機会があり、部位により顔料を使い分けるようなデータが得られたことをきっかけに、川合玉堂氏旧蔵三幅本などに対して蛍光X線分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
所蔵先の都合の関係で、調査を実施できた箇所は実施計画よりも少ないが、それについては28年度分の調査予定を27年度中に調整しており、次年度で行う目処がついている。 画像の整理、事蹟ごとの分類、太子伝テキストのデータ入力も概ね順調に進んでおり、デジタル撮影の方法の改善や、絹目調査、顔料の蛍光x線分析など調査の方式や収集データの種類などは実施計画時の想定よりも進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
画像撮影につては、27年度で改善した、博物館の撮影機材を用いた撮影方法により引き続き撮影を行う。絹目や顔料分析に関しては実施の可否は所蔵先次第になるので、可能な限り今後の研究につながるよう収集データ数を増やしていく。 並行して、撮影画像の事蹟ごとの分類整理を進め、太子絵伝各作品間での比較や説話画、絵巻など関連作品との図様や表現、技法に関する情報、太子伝のテキストデータとのリンクも合わせて、データベース構築を図っていく。
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