研究課題/領域番号 |
24242028
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
鷹取 祐司 立命館大学, 文学部, 教授 (60434700)
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研究分担者 |
松本 保宣 立命館大学, 文学部, 教授 (00351312)
田中 俊明 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (50183067)
馬場 基 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (70332195)
三枝 暁子 立命館大学, 文学部, 准教授 (70411139)
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研究期間 (年度) |
2012-10-31 – 2017-03-31
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キーワード | 肩水金関 / 中国漢代 / 関所 / 交通政策 / 東アジア |
研究概要 |
初年度となる24年度は2回の全体研究会を開催した。本課題は10月末に追加採択されたものであるため、1回目の全体研究会も2013年1月になってからの開催となった。そこでは、まず、本研究において目指すべき方向性について全員で協議した上で、今後の研究推進の具体的方法を決定し、当面は漢代の関所跡である肩水金関遺址(中国甘粛省金塔県)出土の漢代簡牘を読み進めてゆくこととした。分担研究者及び連携研究者の全員が中国古代史専攻の研究者というわけではないため、肩水金関漢簡を理解するための基本的な知識を共有する必要があり、肩水金関漢簡の出土地点である漢代の肩水金関の地理的状況や歴史的経緯、さらに肩水金関遺址の1930年代と70年代の二度に亘る発掘調査の状況、金関出土漢簡の概要を整理するとともに、肩水金関漢簡の中の特徴的な木簡を取り上げながら金関の機能について初歩的整理をおこなった。第2回の全体研究会は3月に開催し、初めに戦国時代から漢代に至る関所や通行証についてその概要を整理して知識の共有化を図ったうえで、肩水金関漢簡を一簡ずつ取り上げ全員で読み進めた。肩水金関漢簡の講読は研究代表者を含む中国古代史研究者が中心となってレジュメを作成し、それを元に全員で議論を行った。その際、研究対象とする時代や地域を異にする研究者が参加することで、多角的な視点からの充実した議論が展開できた。 また、如上の全体研究会とは別に、肩水金関漢簡のデータベース化作業を進めている。この作業は、図録に掲載された写真を一簡一簡PDF化するとともに、釈文をテキスト化し語彙を検索できるようにすることを目指すものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本課題は10月末に追加採択されたものであるため、研究の開始そのものが年度初め採択の場合に比して半年以上遅れたことが、24年度の達成度について如上の評価となった主たる理由である。さらに、追加採択決定後の時期が大学における教育活動の繁忙期に当たったため1回目の全体研究会開催も2013年1月にならざるを得なかったという事情もあった。このように研究開始時期の遅れに起因する研究遂行の遅れはあるものの、研究開始後の進捗状況は当初計画から著しい遅れは無いものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の特徴の一つは、中国・朝鮮・日本の古代および中世という異なる地域・時代を研究対象とする研究者が参加し、多角的に議論する点である。そのため、中国古代、中国中世、朝鮮古代中世、日本古代、日本中世それぞれの地域・時期の関所や交通政策についての概要を分担して整理し、各地域・各時代の交通政策に関する基礎的知識の共有化を図ってゆく。その上で、実際の関所において作成・使用されていた肩水金関漢簡を一簡ずつ読んでゆきながら、各地域・各時代の交通政策との対比も含めた議論を進めてゆく。また、肩水金関漢簡のデータベース化作業を並行して進めてゆく。
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