研究課題/領域番号 |
24242035
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高田 明 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (70378826)
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研究分担者 |
高木 智世 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (00361296)
金子 守恵 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 助教 (10402752)
木村 大治 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 教授 (40242573)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 子ども / 生態・環境 / 相互行為 / 教育・学習 |
研究概要 |
代表者はこれまで,相互行為における応答の力を基礎として子どもと養育者の双方が責任を文化的に形成していく仕組みを明らかにしてきた.本研究の目的は,この研究成果と理論枠組みに立脚し,子どもの教育・学習が成立する基盤となる文化的・生態学的な構造を明らかにすることである. プロジェクト初年度となる平成24年度は,本務校の若手研究者海外派遣制度を活用し,平成24年8~10月にかけておもにボツワナ大学に付属研究員として滞在して研究活動を行った.具体的には,ニューカデ村でグイ/ガナの言語的社会化に関する調査を行い,得られたデータに基づいてボツワナ大学の教員や同大学への訪問研究者らと議論を行った.さらにその後訪問したケープタウン大学,シンガポール国立大学でも同様の議論を行った. 日本国内では,乳幼児がいる家庭10軒の定期訪問によって得られた(1)リズムの発達,(2)模倣の発達,(3)交換の発達に関する研究資料の解析を進めた.具体的には,おもに動画資料に基づくジェスチャーや会話の書き起こしを作成した.また,乳幼児と養育者の相互モニタリング過程を正確に記録・分析するための小型のアイカメラを用いた動画資料の収集方法について検討を進めた. これらと並行して国内外で月に1~2度のデータセッションを行った.平成24年度は特に,リズムの発達について集中的に検討し,養育者-子ども間相互行為では早い時期から共同的音楽性を通じて「間主観的時間」の構造が導入されること,それはその社会における道徳性が育まれる基礎となることを明らかにした. 代表者らはこれらの研究成果の一部を代表者が定期的に主催してきた国際ワークショップ(「教育・学習の人類学セミナー(平成24年度は計4回開催)」)を始めとする国内外のシンポジウムや学会で議論した.また調査参加者に向けた報告書を作成し,保護者に配布するとともにHPに掲載した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は,研究員1名と事務補佐2名を採用して研究資料の収集・解析を進めた.さらに研究代表者が南部アフリカでの長期フィールドワークを行い,目的に記した3つのテーマに関連した調査を行った.さらに研究代表者の本務校で9回に渡ってデータセッションを行い,分析の妥当性を検討した.本報告書に記したように,研究の成果は学会等での発表,学術雑誌の論文として公表した.また,本プロジェクト独自のHPを作成し,プロジェクトの進行や成果を随時公開している.また4回に渡って「教育・学習の人類学セミナー」を主催し,本プロジェクトに関する議論を行った.また調査協力者(保護者)向けの報告書を発行した.したがって,本年度の目標として据えた課題はおおむね達成しえた.
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今後の研究の推進方策 |
プロジェクトの初年度となる平成24年度は,交付額が当初の申請額より28%程度減額されたが,既存の研究機材を活用したり,当初予定していた西アフリカでの新たな動画資料の収集に替えて研究協力者の既存の動画資料を再分析したりして,研究費の節約に努めた.その結果,プロジェクトの基本方針を変えることなく,目標として据えた課題をおおむね達成することができた.平成25年度も引き続き,申請書に記した計画・方法に沿ってプロジェクトの運営を進める.ただし,平成25年度の交付額は当初の申請額より35%程度減額されることが予想されるので,当初予定していた長期フィールドワークを短縮するなどして予算の節約に努める予定である.
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