• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実績報告書

法的サービス供給をめぐる紛争の構造―専門家の視角と利用者の視角の交錯を通じて

研究課題

研究課題/領域番号 24243002
研究機関神戸大学

研究代表者

樫村 志郎  神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40114433)

研究分担者 阿部 昌樹  大阪市立大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10244625)
高橋 裕  神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40282587)
菅野 昌史  いわき明星大学, 人文学部, 准教授 (70379494)
佐藤 岩夫  東京大学, 社会科学研究所, 教授 (80154037)
山田 恵子  京都女子大学, 法学部, 講師 (80615063)
研究期間 (年度) 2012-10-31 – 2017-03-31
キーワード基礎法学 / 法社会学 / 紛争処理 / 法専門職 / 法的サービス / 事例研究 / エスノメソドロジー / 質的社会学
研究概要

研究実施計画によれば、本年度は(1)法社会学研究史をふまえた研究視角の確立、(2)エスノメソドロジーを中心とする質的研究方法論の深化、(3)法制度的・比較法的背景の調査、(4)大量調査分析と必要に応じての追加実施、(5)インテンシブな事例研究の準備と一部着手、(6)法規動向の調査を行なうこととしている。年に数回の会合とITを利用した情報と記録の共有を活用し、4名によるオーストラリア訪問調査を実施し、1件のインターネット調査を実施し、法令と懲戒等事例の量的・質的検討を実施するとともに、以下の成果を得た.計画項目(1)については、英米の先行研究を収集・検討を継続した.法社会学における量的研究法に関して平成25年度日本法社会学会のミニシンポジウムで研究分担者2名が発表を行なった.(2)はタスマニア大学Max Travers教授、Sydney大学Luke Nottage教授、Macquarie大学Kay-Wah CHan博士らとの研究交流により理論的深化があった.質的方法論の検討の成果を公表するミニシンポジウムを平成26年度法社会学会大会で行なう.(3)では先進的な規制をもつオーストラリアNew South Wales州およびTasmania州の弁護士規制機構と実態を研究した.(4)については、2013年2月に実施した法律家イメージに関する市民意識調査の結果を分析し、2014年3月にシドニー大学(オーストラリア)で東アジア法セミナーを企画・発表した.法律家の利用者がいかなる経験・評価をもつかを知るため、インターネット調査の特性を活用して弁護士利用者と司法書士利用者を対象とする意識調査を実施した。(5)については、弁護士と司法書士の懲戒事例集等を素材に、1950年代からの変動傾向と質的類型化の把握を行なった.(6)については日本・オーストラリア・英国の法令を収集・検討した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度には、海外動向調査を2カ国につき計画していたが、資料収集の進展があったためオーストラリアで2地域を検討することに変更した.法律家人口等に大きな違いがあるため、有益な比較になった反面、バラエティが乏しくなった.法律家と依頼者の紛争事例の収集は、予想以上に多様な紛争があることがわかったため、本研究で主要な研究活動と位置づけている面接調査のまえに、文書資料でその分類学を先行することとしたため、面接調査に着手できていない.他方、意識調査は興味深い傾向をいくつか示していること、法律家利用者に焦点をあてる意識調査はこれまで例がなかったところ、インターネット調査のサンプル構成の自由さを活用することで実施できたこと、また、文書資料そのものの研究もこれまでは系統的なものがなくユニークな成果が得られていること、研究成果発表のためオーストラリアで日本法セミナーを企画・発表したことなどについて、予想以上の成果が得られた.

今後の研究の推進方策

平成25年度までの成果を基礎としてつぎの点に重点をおいて進める.(1)理論的には専門職責任の社会的動向とその要因分析を進める これと連繋して、国際比較的な解明の継続.とくにオーストラリア諸州・イギリスの動向のとりまとめを行なう.(2)法専門家意識と利用経験者への大量サーベイ調査の結果のとりまとめと公表を行なう.(3)前年度から実行中の弁護士・司法書士の懲戒事例の量的動向分析をふまえての事例単位の質的分析視角の確立と面接資料の収集に着手する.同時に、海外の比較可能な事例の情報収集を行なう.(4)質的研究法の方法論研究成果を日本法社会学会学術大会において公表し,討議する等の発表活動を通じ、国内およひ国外研究者との交流による研究者ネットワークの拡大を継続する.

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (5件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] 自治基本条例のインパクト2014

    • 著者名/発表者名
      阿部昌樹
    • 雑誌名

      大阪市立大学法学雑誌

      巻: 60巻2号 ページ: 1,43

  • [雑誌論文] 原発事故避難者の法的支援と『司法ソーシャルワーク』2014

    • 著者名/発表者名
      佐藤岩夫
    • 雑誌名

      学術の動向

      巻: 2014年2月号 ページ: 54,58

  • [雑誌論文] 原発避難に伴う楢葉町民の避難生活(2)-トラブル経験の実態2014

    • 著者名/発表者名
      菅野昌史・石丸純一
    • 雑誌名

      いわき明星大学人文学研究科紀要

      巻: 12号 ページ: 67,78

  • [雑誌論文] 書評・小宮友根著『実践の中のジェンダー―法システムの社会学的記述』(新曜社, 2011年)2013

    • 著者名/発表者名
      樫村志郎
    • 雑誌名

      法社会学

      巻: 79号 ページ: 229,234

  • [雑誌論文] リーガル・カウンセリング論主導の法実践に関する予備的考察 : 法社会学理論の動態分析に向けて2013

    • 著者名/発表者名
      山田恵子
    • 雑誌名

      京女法学

      巻: 5巻 ページ: 191,220

  • [学会発表] A Sociological Study of Complaints Against Lawyers

    • 著者名/発表者名
      Kashimura, Shiro, Abe Masaki, & Masashi Kanno
    • 学会等名
      Japanese Law Seminar
    • 発表場所
      University of Sydney
  • [学会発表] 書評報告 西阪 仰他著『共感の技法―福島県における足湯ボラン ティアの会話分析』(勁草書房、2013年)

    • 著者名/発表者名
      樫村志郎
    • 学会等名
      エスノメソドロジー・会話分析研究会
    • 発表場所
      東海大学高輪キャンパス
    • 招待講演
  • [学会発表] 紛争当事者の語りをどう聞くか?

    • 著者名/発表者名
      樫村志郎
    • 学会等名
      第6回九州ブロック司法書士会協議会開業支援フォーラム
    • 発表場所
      福岡センタービル
    • 招待講演
  • [学会発表] サーベイ調査によって人々の経験を捕捉することの可能性と限界

    • 著者名/発表者名
      阿部昌樹
    • 学会等名
      2013年度日本法社会学会学術大会
    • 発表場所
      青山学院大学
  • [学会発表] 法社会学研究におけるサーベイ調査:可能性と課題

    • 著者名/発表者名
      高橋裕
    • 学会等名
      2013年度日本法社会学会学術大会
    • 発表場所
      青山学院大学
  • [学会発表] How Users Evaluate the Labor Tribunal System in Japan: Key findings of the 2010 Labor Tribunal Survey

    • 著者名/発表者名
      Iwao Sato
    • 学会等名
      Annual Conference of RCSL
    • 発表場所
      Toulose, France
  • [図書] 法の観察2014

    • 著者名/発表者名
      樫村志郎,阿部昌樹 (編集および分担執筆), 佐藤岩夫,高橋裕 (分担執筆)
    • 総ページ数
      374
    • 出版者
      法律文化社
  • [図書] The Changing Role of Law in Japan2014

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Takahashi (分担執筆)
    • 総ページ数
      未定
    • 出版者
      Edward Elger
  • [図書] エコノリーガル・スタディーズのすすめ―社会を見通す法学と経済学の複眼思考―2014

    • 著者名/発表者名
      高橋裕 (編集および分担執筆)
    • 総ページ数
      326
    • 出版者
      有斐閣
  • [図書] 法と女性共同研究報告書2014

    • 著者名/発表者名
      山田恵子 (分担執筆)
    • 総ページ数
      220
    • 出版者
      法と女性FD研究会 (編集と発行)

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi