研究課題/領域番号 |
24243007
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小畑 郁 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40194617)
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研究分担者 |
戸波 江二 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (00103911)
本 秀紀 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (00252213)
建石 真公子 法政大学, 法学部, 教授 (20308795)
北村 泰三 中央大学, 法務研究科, 教授 (30153133)
江島 晶子 明治大学, 法務研究科, 教授 (40248985)
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研究期間 (年度) |
2012-10-31 – 2015-03-31
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キーワード | 国際法学 / 公法学 / EU法 / 人権条約 / 憲法化 / ヨーロッパ |
研究概要 |
研究員・技術補佐員各1名(いずれも非常勤)を雇用し、連絡網の整備・研究会ホームページの作成準備を含め、研究会の体制を整えることを重視するとともに、判例研究の基礎作業として、研究対象判例候補の選定のための基礎資料作りに着手した。 判例研究を主として各研究参加者のイニシアチヴで開始し、それぞれの研究発表に生かすとともに、一部については、研究会での報告・討論の対象とした。 ストラスブール(フランス)およびフライブルグ(ドイツ)でのシンポジウムおよびセミナーを共催し、本研究参加者が主として本研究の基礎となる着想および今後発展させるべき概念について報告を多数組織して行い、主としてヨーロッパ側の参加者からコメントを得た。 これらの活動の結果として、現在のところ考えられている着想および概念は、次の通りである。ヨーロッパ・レヴェルの人権秩序は、各国の基本権保障秩序の調和にとって最も重要なフォーラムを提供するものであるが、後者の上位に立ち、後者を併呑していくような性質のものとはいえない。その意味で、ヨーロッパ人権秩序は多(重)層的あるいは多元的なものであり、国際法と国内法の関係について従来論じられてきた一元論も二元論もこうした事態をうまく説明するものではない。こうした事態は、ヨーロッパ・レヴェルの秩序および各国法秩序の双方に困難な問題を提起する。従来、これらの法秩序は、それぞれ自らの一貫性をほとんど最優先の課題として追求してきたが、多元化によりその見直しが迫られているからである。この問題の解決については、法理論として十分な対応を見いだすには至っていないが、一つの着想として従来国際私法で議論されてきた観念が有効ではないか、というものが提示されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
10月末に追加採択の通知があり、とくに研究員および技術補佐員の雇用は12月ないし1月にならざるをえず、H24年度は研究会の体制作りに重点を置かざるをえず、十分な判例研究の体制的な準備ができていなかった。理論研究に着手する予定であったが、仮説の提示(それ伴うレビューの受信)や上記の理由により情報収集にとどまった面が強い。
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今後の研究の推進方策 |
判例研究という地道な活動を引き続き重視する。そのため、早期に研究会の「判例レビュー・セッション」を開催して研究対象判例の特定につとめる。 理論研究をよりいっそう推進するため、先頃文案確定した欧州連合(EU)のヨーロッパ人権条約への加入についての研究や人権裁判所改革をめぐる議論についての研究を重視して、取り組む。 ヨーロッパの研究者・実務家との交流を引き続き重視する。
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