研究課題/領域番号 |
24243019
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鈴木 將文 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90345835)
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研究分担者 |
横溝 大 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (00293332)
林 秀弥 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (30364037)
水島 朋則 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60434916)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 知的財産法学 / 経済法学 / 国際私法学 / 国際法学 |
研究概要 |
平成24年度は、多国間フレームワーク(WIPO、WTO等)及び地域内フレームワークの例としてのEUにおける制度の統合と分散化の動向の把握・分析、その他の主要国の動向の調査、及び分散化の要因・必要性に関する理論的研究を実施した。 各研究員がそれぞれ研究を進めたほか、国内外の研究者を報告者とする研究会及び国際シンポジウムを計7回開催し、情報の収集、意見交換、研究成果の発信等に努めた。特に2月には、"International Issues relating to Pro-innovation Patent System and Competition Policy"をテーマとし、欧米日の研究者を招聘して2日間にわたる国際シンポジウムを開催した(2月9-10日)。また、台湾の研究者を招いた国際シンポジウムも開催した(2月16日)。その他の研究会のテーマは以下の通りである。(1)米国の州における集団的被害の一括救済-州司法長官の活動について(7/25)、(2)北朝鮮著作物事件を巡って(9/20)、(3)Moral Rights in Film and TV and Why a Similar Regime Did Not Develop in Advertising(10/9)、(4)Challenges of IP dispute resolution before State courts and alternative dispute resolution bodies(11/3)、(5)International IP System and Development(11/28)、(6)ファッションと法(12/17)、(7)クラウド・コンピューティングの法的課題(3/15)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、当初予定どおりの文献調査が進んだほか、外国の研究者との交流も活発に行うことができ、おおむね所期の目標を達成することができた。具体的には、特に欧州における特許制度の統合、及び環太平洋地域における地域経済統合の動きが(事業申請時に予想していた以上に)進展したところ、その関係の情報収集に努め、それらに関するシンポジウムの開催や研究論文の発表などを行うことができた。その他、各研究員の専門・関心に沿い、研究の進展があった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、平成24年度から継続して、国際的フレームワークにおける統合と分散化の動向の把握・分析とその要因についての理論的検討を行う。平成26年度及び27年度は、それまでの研究成果に基づき、あるべき国際的フレームワークについての検討を行う。具体的には、次のような観点からの研究である。 ①知的財産法(特に特許法と不正競争防止法)及び競争法に関し、国・地域ごとに異なる諸要件を捨象した一種のモデル法と、それら諸要因をいわば勘案して制度に柔軟性を持たせる場合の具体的制度のイメージを検討する。その際、知的財産法と競争法が相互に深く関連することを踏まえ、それらの相互連関を制度自体にどのように反映すべきかについても、検討する。②上記を踏まえ、国際的な規律(条約等のハードローとソフトローとを含む。)として、どのようなものが望ましいかを検討する。 すでに国際的フレームワークが存在する分野(知的財産法)については、(i) 現行フレームワークにおける統合と分散化の調整のどこに問題があるのか。例えば、TRIPS協定における「柔軟性」(同協定の前文や7条、8条等の規定により、メンバー国の裁量的な制度が一定程度認められるとされる特性)はどこまで機能するのか、「柔軟性」というアプローチにはどのような問題があるか。(ii) 上記を踏まえて、あるべき国際的フレームワークはどのようなものなのか、という手順で検討することになる。 他方、国際的フレームワークがいまだ存在しない分野(競争法、国際私法)については、一種のモデル的なフレームワークの具体的イメージを構想する。 なお、平成25年度以降も毎年度、欧州等の外国人研究者を招いて国際シンポジウムを開催し、課題の整理、最先端の議論との交流、成果の提示を図る。最終年度には、研究の集大成として総括的なシンポジウムを開催し、研究成果を国内外に広く問うこととする。
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