オープン・イノベーションの実証研究：製品，市場，産業，及びマネジメントの観点から

2013 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 24243048
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 小林 敏男 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (20205470)
• 研究分担者: 平山 弘 阪南大学, 流通学部, 教授 (00368383) ; 松村 政樹 大阪商業大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10340019) ; 松村 真宏 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (10379159) ; 関口 倫紀 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (20373110) ; 中川 功一 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (40510409) ; 金井 一頼 大阪商業大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50142831) ; ウィラワン ドニ・ダハナ 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (90432426) ; 小阪 玄次郎 上智大学, 経済学部, 助教 (90582297) ; 多田 和美 近畿大学, 経営学部, 講師 (50582805) ; 福地 宏之 東洋学園大学, 公私立大学の部局等, 講師 (90552505)
• 研究期間 (年度): 2012-10-31 – 2015-03-31
• キーワード: 経営学 / 技術経営 / イノベーション

研究概要

平成25年度の研究実施計画は，①文献および事例収集，②事例分析，③理論モデル精緻化，及び④仮説検証準備であった。文献収集は研究進捗に応じて適宜進めたので，以下では割愛し，(1)事例収集・分析，(2)理論モデル精緻化，及び(3)仮説検証準備について，実績を報告する。
(1)事例収集・分析　　東北地域における労働集約型産業，日系企業の東アジアにおける研究開発垂直分業，BOPビジネス（東アジア，南アフリカ，南米），及び南イタリアにおける農産物のブランド化と持続可能性等について事例を収集し，分析を行った。そうした中で，「持続可能性」及び「イノベーション限界」という概念の重要性が確認されるに至った。
(2)理論モデル精緻化　　持続可能性及びイノベーション限界をどのように理論モデルに内包するかについて検討を加えたが，システムとしての開放性の程度に依存するので，それらをそのまま実証研究に組み入れようとすると，その枠組みを大きく見直さざるを得なくなるため，昨年度の実績（モデル化）を活かすべく，産学連携活動に焦点を絞ることにした。
(3)仮説検証準備　　全国76大学に対して聞き取り及びアンケート調査を依頼し，63大学（国立大：61，公立大：5，私立大：7）の協力を得ることができ，記述統計のみならず，変数間の相関分析を行った。「情報の粘着性 information stickiness」を緩和するには，「担当者の属性」が異なる場合には，複数の「コミュニケーション媒体」をもとに，「コミュニケーション頻度」を高める努力が必要不可欠であることを，産学連携における実際の事例に当てはめて概略的に確認することができた。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

理論化の可能性は拡大したものの，実証研究という観点からすれば，産学連携活動に絞らざるを得なかったことは，一長一短がある。長所については，産学連携活動に対して具体的な指針を提示できる可能性が高まったことであり，短所については，より大きな枠組み（グランドセオリー）の実証を断念したことである。

今後の研究の推進方策

大きな変更はない。25年度及び26年度において枠組みを拡大して得た知見の理論化を仕上げるとともに，産学連携活動に関する指針作りに努める。

研究成果

• [雑誌論文] 仕掛学概論 (2013)
  • 著者名/発表者名: 松村真宏
  • 雑誌名: 人工知能学会誌 巻: 第28巻5号 ページ: 584-589
• [雑誌論文] 日本企業の東アジア研究開発垂直分業：20社への探索的フィールド調査に基づく試論 (2013)
  • 著者名/発表者名: 中川功一
  • 雑誌名: 大阪大学経済学 巻: 第６３巻 ページ: 15-25
• [雑誌論文] 国内工場を取り巻く現状と，これからの戦略 (2013)
  • 著者名/発表者名: 中川功一
  • 雑誌名: 工場管理 巻: 第５９巻 ページ: 15-19
• [雑誌論文] The Effect of Assortment Changes on Consideration Set Formation (2013)
  • 著者名/発表者名: Wirawan Dony Dahana
  • 雑誌名: Contemporary Management Research 巻: Vol.9 №3 ページ: 231-246
• [雑誌論文] Study on the Effect of Reference in Extensive Buying Problem (2013)
  • 著者名/発表者名: Wirawan Dony Dahana
  • 雑誌名: Proceedings of 2013 International Conference on Business and Information 巻: ２０１３年版 ページ: 224-237
• [雑誌論文] 日本の企業社会とイノベーション (2013)
  • 著者名/発表者名: 金井一賴
  • 雑誌名: 持続可能な発展とイノベーション(企業と社会フォーラム編) 巻: 第2巻 ページ: 75-80
• [雑誌論文] 「オープン・イノベーションの実証研究－東北の労働集約産業構造の視点から－」 (2013)
  • 著者名/発表者名: 平山 弘
  • 雑誌名: 『阪南大学産業経済研究所 OCCASIONAL PAPER』 巻: 第50巻 ページ: 1-16
• [雑誌論文] プラットフォーム戦略のジレンマ ―SNSのケースを中心に― (2013)
  • 著者名/発表者名: 松村 政樹
  • 雑誌名: 経営学論集第83集 巻: 第25巻 ページ: 1-12
  • 査読あり
• [雑誌論文] 「手を取り合って－カンボジアにおける日系企業BOPビジネスの分析－」 (2013)
  • 著者名/発表者名: 中川功一，多田和美，今川智美，小林敏男
  • 雑誌名: 赤門マネジメント・レビュー 巻: 第12巻第6号 ページ: 469-494
• [学会発表] 「日本企業の新興国拠点におけるコントロール・メカニズムの分析 －社会化のコントロールに注目して－」 (2013)
  • 著者名/発表者名: 多田和美
  • 学会等名: 国際ビジネス研究学会第36回関西部会
  • 発表場所: 関西学院大学
  • 年月日: 20131214-20131214
• [学会発表] Preliminary Considerations on Shikake Design Process (2013)
  • 著者名/発表者名: Naohiro Matsumura, Larry Leifer
  • 学会等名: 2013 Conference on Technologies and Applications of Artificial Intelligence (TAAI2013)
  • 発表場所: 台北
  • 年月日: 20131206-20131208
• [学会発表] 海外現地法人における戦略目標とマーケティング行動のずれ―概念枠組みの提示 (2013)
  • 著者名/発表者名: 上原渉，山下裕子，鷲田祐一，佐々木将人，福地宏之，福冨言
  • 学会等名: 日本マーケティング学会カンファレンス
  • 発表場所: 早稲田大学
  • 年月日: 20131110-20131110
• [学会発表] ラディカル・イノベーションに伴う既存技術の伸張：伊勢電子工業の創業プロセス (2013)
  • 著者名/発表者名: 小阪玄次郎
  • 学会等名: アントレプレナーシップ・コンファランス
  • 発表場所: 大阪企業家ミュージアム
  • 年月日: 20131102-20131102
• [学会発表] ミクロ主体の行為連鎖による地域エコシステムの変容―シリコンバレーのシステム変容の事例より― (2013)
  • 著者名/発表者名: 中川功一
  • 学会等名: 国際ビジネス研究学会
  • 発表場所: 近畿大学
  • 年月日: 20131027-20131027
• [学会発表] 「国産牛肉市場におけるブランド化の現状と課題―神戸牛と但馬牛を中心に―」 (2013)
  • 著者名/発表者名: 平山 弘
  • 学会等名: 日本流通学会第27回全国大会
  • 発表場所: 関東学院大学金沢八景キャンパス
  • 年月日: 20131027-20131027
• [学会発表] The Emotional Timeline After the Great East Japan Earthquake (2013)
  • 著者名/発表者名: Asako Miura, Masashi Komori, and Naohiro Matsumura
  • 学会等名: 121st Annual Convention, American Psychological Association (APA)
  • 発表場所: ハワイ
  • 年月日: 20130731-20130804
• [学会発表] Study on the Effect of Reference in Extensive Buying Problem (2013)
  • 著者名/発表者名: Wirawan Dony Dahana
  • 学会等名: International Conference on Business and Information
  • 発表場所: Grand Hyatt Bali
  • 年月日: 20130708-20130708
• [学会発表] The role of perceived usefulness and perceived enjoyment on social network sites: Comparative study between Japan and Brazil on the development of social capital. (2013)
  • 著者名/発表者名: Marcos H. Yokoyama, Tomoki Sekiguchi
  • 学会等名: Association of Japanese Business Studies (AJBS) 26th Annual Conference
  • 発表場所: Istanbul, Turkey
  • 年月日: 20130703-20130703
• [学会発表] Determinants of job crafting among part-time and full-time employees in Japan. (2013)
  • 著者名/発表者名: Jie Li and Tomoki Sekiguchi
  • 学会等名: Association of Japanese Business Studies (AJBS) 26th Annual Conference
  • 発表場所: Istanbul, Turkey
  • 年月日: 20130702-20130702
• [学会発表] How firms acquire technical knowledge beyond their boundaries: A case analysis of architectural change in the hard disk drive (2013)
  • 著者名/発表者名: Genjiro Kosaka
  • 学会等名: The R&D Management Conference
  • 発表場所: University of Manchester
  • 年月日: 20130627-20130627
• [図書] ドーナツを穴だけ残して食べる方法 越境する学問 (2014)
  • 著者名/発表者名: 松村真宏（第０章，分担執筆）
  • 総ページ数: 274
  • 出版者: 大阪大学出版会
• [図書] はじめて学ぶ人のためのグローバル・ビジネス（改訂新版） (2014)
  • 著者名/発表者名: 梶浦雅己編著，多田和美（第１４・１５章，分担執筆）
  • 総ページ数: 383
  • 出版者: 文眞堂
• [図書] グローバル製品開発戦略 － 日本コカ・コーラ社の成功と日本ペプシコの敗退 (2014)
  • 著者名/発表者名: 多田和美
  • 総ページ数: 264
  • 出版者: 有斐閣
• [図書] ベイズ計量経済学ハンドブック (2013)
  • 著者名/発表者名: Wirawan Dony Dahana（共訳）
  • 総ページ数: 560
  • 出版者: 朝倉書店
• [備考] イノベーション・マネジメント・センター
  • URL: http://cmi.econ.osaka-u.ac.jp/