研究課題/領域番号 |
24243050
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
南 知惠子 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (90254234)
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研究分担者 |
高嶋 克義 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (30197090)
平野 光俊 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (10346281)
松尾 睦 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (20268593)
近藤 公彦 小樽商科大学, 商学研究科, 教授 (10205552)
坂川 裕司 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (40301965)
猪口 純路 小樽商科大学, 商学研究科, 准教授 (40405486)
金 雲鎬 日本大学, 商学部, 准教授 (10410383)
西岡 健一 関西大学, 商学部, 准教授 (40553897)
森村 文一 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (80582527)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マーケティング / 流通 / 経営組織 / 国際経営 |
研究実績の概要 |
本研究は、小売企業の加速的成長について、成長を支える組織基盤の構築プロセスに注目し、前提条件から戦略策定、組織行動、成果に至る因果モデルの構築・検証、および、加速的成長のための基盤構築プロセスの類型化を行うことを目的とするものである。 H26年度は、それまでに小売り成長を促進する組織的要因は仮説的に特定化されてきたことを踏まえ、測定変数および測定尺度についての議論を研究統括者、分担者全員で討議し、理論的なフレームワークを構築した。それをもとに質問紙調査を上場・非上場小売り企業の経営企画、情報システム、営業部門の部門長に対し、実施した。1229社(6494部門)に送付し、549社より有効な回答を得た(43.4%)。質問紙調査の実施は神戸大学に所属する研究者達が主として行った。回収したデータを用いて、小売企業の成長を示す変数として、売上高と収益性(経常利益成長率)とを用い、加速的成長を支える小売企業の組織的条件として仮説的に想定される変数群(革新性志向、情報システム、戦略上の標準化の程度等)が与える影響について重回帰分析を用いて解析、検定を行った。結果として、業績に正の影響を持つ影響要因として、企業の「革新性志向」が売上高、利益の両面において影響を持ち、また社内情報システムの統合が利益において影響を持つことが明らかになった。一方、予想に反し、価格やプロモーション上の標準化は業績に対し負の影響が見られた。この結果については商圏への適応や全社的な管理費用とのトレードオフ関係が影響していることが推測された。 H27年度は、この発見物をもとにさらに詳細に分析を深める計画であるが、研究成果の発表としては、日本商業学会全国大会、American Marketing Science 年次大会を始めとするマーケティング、流通関連の学会で、研究代表者および研究分担者のそれぞれが関連する研究成果について報告を行うことが既に決まっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、上場・非上場小売企業、6494部門(1229社)への質問紙調査を行い、43.4%の回答を得たこと、また小売企業の成長に影響を与える要因分析を行ったことは、本研究の大きな成果であったといえる。小売企業の成長要因と考えられる組織構造の違い、MD・プロモーションにおける標準化の程度の変数に加え、小売企業の市場志向、小売企業による複数チャネル管理、顧客関係管理等、様々な要因が小売企業の成長にどのように影響を与えるのかについて複合的な因果関係を推定するモデル自体を構築することができた。
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今後の研究の推進方策 |
4年間の研究計画の上で、H27年度は最終年度となる。小売企業の加速的成長と組織的基盤について、これまで事例研究や、特定の要因分析に関する質問紙調査に基づき、理論的フレームワークをこの3年間で構築することができた。さらに昨年度の大規模な質問紙調査により、データ収集および統計解析の一部を実施することができた。今年度は、さらに想定される因果関係について、共分散構造分析等の多変量解析によりモデルを検証し、分担者を3グループにわけ、市場志向、市場戦略、組織基盤、組織・顧客関係管理と、業績との相互関連についての実証研究を3通り行う予定である。またそれらを年度内に論文化し、国内外での学会発表および国内外の査読誌への投稿を予定している。
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