研究課題
(1) 広い年齢層の絶対音感保有者に対して周期的な聴覚入力に対する脳波測定を実施し,周波数追随反応の強さを推定した。その結果として,絶対音感の加齢シフトと周波数追随反応の強さの間には相関が存在しないことが確認された。先行研究では,加齢に伴い若年層と聴力損失レベルが同等であっても周波数弁別閾が劣る場合があることが知られており,これは周波数追随反応に現れる「隠れた聴力障害」のひとつとして考えられてきていたが,本研究課題が追究している加齢に伴う絶対音感のシフトは単なる時間符号化の劣化のレベルでは説明が困難のことを示す貴重なデータが得れた。(2) (1)とは独立して,動物を用いた電気生理実験ではラットを使用して聴神経の発火の位相同期が加齢に伴って劣化していることが示された。加齢に伴って聴神経の一部が退化して消失することは知られているが,個別の神経発火のレベルでも時間符号化の劣化が生じることが改めて示された結果として意義のあるデータを得ることができた。(3) 計算モデルとしては,聴神経活動に観察される時間間隔ヒストグラムをピッチというひとつの知覚像に対応づけるためには,なんらかの内部発振への参照が最低限必要とせざるを得ないとの確信にいたり,内部発振回路の存在を前提として,その発振活動と入力された信号に対する時間的符号化の共起分析を実施するピッチ知覚モデルの実装を実施した。この内的な発振の周期が系統的に変化することを仮定することによって,ピッチ・シフトが予測できた。さらに,この発振系としてはループ回路によって実現することが可能であり,その実装も行った。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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