この研究は、大学教育の質的な高度化のために、どのような財政的基盤が必要かについて実証的な研究を目指したものである。具体的には、①日本の大学の4年制大学の教員一人あたりの学生数(ST比)を、データベース化し、②大学生の学習時間とST比などの物的投入との関係を統計的に分析した。 その結果、以下の点を明らかにした。A)日本の大学におけるST比は、一般に高く、それが教育の制約になっている。B)しかし、統計的には両者の関係は複雑であり、大学の教育理念や組織的な文化が大きな役割を果たしている。C)このような観点から、個々の大学の状況とシステム全体の資源動員との関係をさらに体系的に分析する必要がある。
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