研究課題
基盤研究(A)
24年度は主に鏡映群,特に,ルート系から決まるワイル群の鏡映面全体から成るワイル配置の研究に集中した.特に,ルート系の単純系(あるいは基底)を固定してルートの高さ(height)を定義するとき,高さによるワイル配置のフィルトレーションについて「高さ自由予想」と呼ぶ予想を立てて,様々なケースについて検証した.その間,松本耕二(名古屋大学・多元数理),津村博文(首都大学東京・理工学研究科),小森靖(立教大・理)との研究打合せ(平成24年9月11~13日,於北大),Gerhard Roehrle,Torsten Hoge(ともにBochum大,ドイツ),Michael Cuntz,Mohamed Barakat(ともにKaiserslautern大,ドイツ)との研究打合せ(平成25年2月19~24日,於Bochum大)は極めて高い効果があった.おかげで,24年度末には「高さ自由予想」あるいは,はるかに一般の「イデアル自由予想」の解決の非常に近くに位置していると思われる.「高さ解決予想」は,いわゆる,Kostant-Macdonald等式(A. Shepiroにより発見され(未発表),R. Steinbergにより独立に再発見された.分類を用いない最初の証明は,B. Kostantによる.後に,I. G. Macdonaldが,生成関数を用いた別証明を与えた)を大きく拡張するものである.ちなみに,この「イデアル自由予想」は,Eric Sommers, Julianna Tymoczkoの2004年の論文の予想であって,提出から9年後に肯定的に解決されたことになる.
2: おおむね順調に進展している
本研究では,研究目的として,以下の3つを掲げている.すなわち,(A) 結晶配置・鏡映配置の代数的・幾何的研究,(B) 複素数の重み付き多重超平面配置に付随する局所系コホモロジーの研究,そして,(C) 超平面配置の自由性についての研究,特にいわゆる「寺尾予想」にの続編に向けての研究である.この中で目標(A)については前述のとおり当初をはるかに上回る進展を示していて,最終目標まであと一歩のところまで来ている.その意味では,現在までの達成度は「(1)当初の計画以上に進展している」ということもできるが,目標(C)については進展が今ひとつであったので(2)とした.目標(B)については研究分担者の吉永正彦が2次元実超平面配置の局所系コホモロジーについて画期的な結果を出しつつある.
ワイル配置に関する「高さ自由予想」は,分類を使わない形での証明が視野に入っているので,まずは,25年度早い時点で「高さ自由予想」を解決したい.その後は「高さ自由定理」を用いることによって,一般Shi配置・一般Catalan配置の微分加群の構造を深く,また,明示的に知ることを目指す.そのためには,この分野の専門家の多いBochum,Kaiserslauternなどに出張して情報交換,研究打合せを行う.
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 7件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Proc. Japan Acad. Ser. A Math. Sci.
巻: 88 ページ: 41-45
doi:10.3792/pjaa.88.41
Advances in Math.
巻: 230 ページ: 2364-2377
doi:10.1016/j.aim.2012.04.015
Bull. London Math. Soc.
巻: 44 ページ: 563-570
doi: 10.1112/blms/bdr118
``Configuration Spaces: Geometry, Topology and Combinatorics,'' Proceedings of a special period at the De Giorgi Center, Scuola Normale in Pisa, May - June, 2010, Edizioni Della Normale, Pisa
巻: なし ページ: 327-354
http://www.math.sci.hokudai.ac.jp/~terao/