研究実績の概要 |
1. 2016年に発表された国際共著論文 "The freeness of ideal subarrangements of Weyl arrangements" (Takuro Abe, Mohamed Barakat, Michael Cuntz, Torsten Hoge, Hiroaki Terao) (Journal of the European Mathematical Society) は古典的な双対分割関係式 (Arnold-Steinberg-Kostant-Macdonaldの公式) をすべてのイデアル部分配置に拡張した。ルート系のイデアルの高さ分布が m_{1} =< ... =< m_{p} であるとは、イデアル内に高さ k の正ルートの数が丁度 m_{k} 個存在することをいう。このときイデアル配置の指数の中に、正整数 k がちょうど m_{k} - m_{k-1} 回登場するという双対分割関係式が成立するのである。ただし m_{p+1} = m_{p+2} = ... = 0 と約束している。 昨年度は、この画期的結果から受けた示唆に基づき、ワイル配置に限らず、すべての自由配置に対してその指数の双対分割の意味を追求する数多くの実験を行った。たとえば、ルート系をもたない鏡映群 H_{3},F_{3},F_{4} に付随する配置は自由配置であり指数をもつ。この場合、指数の双対分割が高さ分布になるようにルートの高さの概念を拡張することに成功した。しかし、残念ながら昨年度中には論文執筆に至らなかったがすでに結果は得ている。
2. Hal Schenck と Masahiko Yoshinaga との共同研究 "Logarithmic vector fields for curve configurations in P2 with quasihomogeneous singularities" においては、曲線の特異点に制限条件をつけることによって、直線配置に関する加法公式 (Addition Theorem, 1981) が曲線配置についても自然に拡張されることを示した。
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