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2015 年度 実績報告書

非圧縮流体の運動方程式に対する応用解析

研究課題

研究課題/領域番号 24244007
研究機関京都大学

研究代表者

岡本 久  京都大学, 数理解析研究所, 教授 (40143359)

研究分担者 山田 道夫  京都大学, 数理解析研究所, 教授 (90166736)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2017-03-31
キーワードナヴィエ-ストークス方程式 / 解の分岐 / 水面波
研究実績の概要

2次元ナヴィエ-ストークス方程式の定常解はたくさん存在する。しかし、レイノルズ数がある程度以上大きくなるとunimodalな解(単峰解とも称する)が現れてくることがわかった。単峰解とは流れ関数のグラフを描いたとき、山が一つで谷底も一つというトポロジカルに単純な形状を示す解のことである。レイノルズ数が大きいときには流れ場は複雑化し、秩序だった流れは見られない、という直感とは反する事実である。3次元乱流では単峰解はないであろう。しかし、2次元の流れでは単峰解が巨大レイノルズ数下で現れるというのは極めて奇妙な現象である。これを数値的に発見し、雑誌[Nonlinearity]に発表した。
単峰解の存在を厳密に証明するということは難しい。そこで、2次元流れのモデルで様々な数値実験を行い、そこにも単峰解が現れることを確認した。これは「2次元流れの1次元モデル」であるので、厳密な証明が可能であると信じている。まだ証明は出来ていないが、精度保証計算を使って証明するための努力を続けている。
渦ありの流れに関する水面波の数値実験を始めた。これまでは渦無しの流れに関する数値実験が大半であったが、現実の流れに少しでも近づくため、渦ありの流れを計算する必要がある。
3次元力学系で大多数の軌道が非有界となる者を考え、そこで時間周期解が存在することを、精度保証計算で証明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

単峰解の存在は直感に反することなので、なかなかすぐには信じてもらえない。しかし、専門誌Nonlinearityに掲載されたこともあって、すこしずつ浸透してきた。今後は精度保証計算を援用することによって、理論体系を整えてゆく予定である。渦あり流の水面波の数値計算は大変困難な問題であるが、よどみ点を考慮に入れたアルゴリズムを開発しつつある。

今後の研究の推進方策

Proudman-Johnson方程式というモデル方程式で単峰解の存在を証明したい。精度保証計算の専門家と共同して、証明を試みる。また、Constantin-Lax-Majda方程式の一般化についても同様のことを考えたい。
様々な渦の分布を考え、それに対応する進行波の形状を数値計算する。特に水底で渦がある場合が重要である。こうした数値実験で渦分布が水面の形状にどういう影響を与えるか、研究してみたい。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)

  • [雑誌論文] A four-leaf chaotic attractor of a three-dimensional dynamical system2015

    • 著者名/発表者名
      T. Miyaji, H. Okamoto & A. Craik
    • 雑誌名

      International J. Bifurcation and Chaos

      巻: 25 ページ: 1530003

    • DOI

      10.1142/S0218127415300037

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Three-dimensional forced-damped dynamical systems with rich dynamics: bifurcations, chaos and unbounded solutions,2015

    • 著者名/発表者名
      T. Miyaji, H. Okamoto, and A. D. D. Craik
    • 雑誌名

      Physica D

      巻: 311-312 ページ: 25-36

    • DOI

      10.1016/j.physd.2015.09.001

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Unimodal patterns appearing in the Kolmogorov flows at large Reynolds number2015

    • 著者名/発表者名
      S.-C. Kim, and H. Okamoto
    • 雑誌名

      Nonlinearity

      巻: 28 ページ: 3219--3242

    • DOI

      10.1088/0951-7715/28/9/3219

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Some mathematical issues about special solutions of the Navier-Stokes equations2016

    • 著者名/発表者名
      Hisashi Okamoto
    • 学会等名
      The Navier-Stokes Equations and Related Topics, Nagoya University
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2016-03-08 – 2016-03-12
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 数理流体力学に現れる困難について2015

    • 著者名/発表者名
      岡本 久
    • 学会等名
      日本数学会総合講演
    • 発表場所
      京都産業大学
    • 年月日
      2015-09-13 – 2015-09-16
    • 招待講演
  • [学会発表] Unimodal patterns appearing in the 2D Navier-Stokes equations at large Reynolds numbers, I2015

    • 著者名/発表者名
      Hisashi Okamoto
    • 学会等名
      International Congress for Industrial and Applied Mathematics
    • 発表場所
      北京、中華人民共和国
    • 年月日
      2015-08-10 – 2015-08-14
    • 国際学会
  • [学会発表] A nonlinear heat equation in the complex plane and an associated ill-posed problem2015

    • 著者名/発表者名
      Hisashi Okamoto
    • 学会等名
      台湾応用数理学会年会
    • 発表場所
      高雄、台湾
    • 年月日
      2015-05-30 – 2015-05-31
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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