研究課題/領域番号 |
24244012
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
柳田 英二 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (80174548)
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研究分担者 |
仙葉 隆 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30196985)
内藤 雄基 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (10231458)
壁谷 喜継 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70252757)
石渡 通徳 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (30350458)
高坂 良史 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00360967)
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研究期間 (年度) |
2012-05-31 – 2017-03-31
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キーワード | 関数方程式の大域理論 / 安定性 / 漸近挙動 / 分岐構造 / 特異性 |
研究概要 |
放物型および楕円型偏微分方程式の解の構造についての研究を進め,以下のような成果をあげた. ・藤田型方程式に対し,ホモクリニック解の到達可能性という概念を定義し,到達可能であるための必要条件について調べ,指数がソボレフ臨界指数を超えたところに,到達不可能なホモクリニック解が存在することを証明した. ・双曲空間および球面上の領域での解の分岐を解明するため,その基礎となる結果を示し,また,球面上の領域でのスカラー場方程式の解の分岐現象の解明のの基礎となる線形化問題の固有値の分布を解明した. ・ある種の生命現象を表す反応拡散系の特異極限を考えることで,場の方程式と場の境界値に依存した自由境界問題の結合系を導出し,この結合系に対して凸および非凸の進行スポット解の存在を明らかにした.また,この結合系の解の存在定理を証明するための手順を定式化した. ・新たな臨界log-Hardy型不等式と平均振動型不等式を導入し,対応する最良定数が達成されないことを示た.また,非等方的 infinity-Laplacian に対して,漸近的平均値の定理が成り立つかどうかを考察し,肯定的結果を得た. ・空間次元が11以上の場合について,走化性方程式の球対称な定常解が球対称な摂動に対して安定である事を示し,さらにこの事実の応用として走化性方程式の球対称な振動解を構成した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
放物型偏微分方程式については,藤田型方程式の安定な特異定常解への収束レート,ホモクリニック解の大域的性質,反応拡散方程式の特異極限の解の構造について新たな進展があった.楕円型方程式については,双曲空間および球面上の領域での解の分岐構造の解明と,臨界log-Hardy型不等式と平均振動型不等式の最良定数について,いくつかの興味深い結果を得た.
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今後の研究の推進方策 |
放物型偏微分方程式については,藤田型方程式のホモクリニック解近傍にある解の性質を明らかにすることにより,その近傍にある多重ホモクリニック解や非収束解の存在を示すことを目標にする.楕円型方程式については,より一般的な領域における分岐構造の解明を目指す. この目的のために,7月にスペインで行われる研究集会に参加し,情報の収集を諮るとともに,関係のある研究者と討論を行う.また,9月には,国際研究集会 Euro-Japanese Workshop on Blow-up を東工大で開催し,ヨーロッパから10名ほどの研究者を招へいして講演を依頼する.
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