研究課題/領域番号 |
24244014
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
深沢 泰司 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60272457)
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研究分担者 |
大野 雅功 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任助教 (50509875)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 宇宙物理 / X線天文学 |
研究概要 |
本年度は,引続きフェルミ衛星によるガンマ線観測と可視偏光観測によるジェット天体の観測の推進,軟ガンマ線偏光観測を実現するためのASTRO-H衛星搭載SGDの開発製造,そして,将来軟ガンマ線偏光装置の開発を行なった. ブレーザー天体においては,新型ガンマ線活動銀河核である狭輝線セイファート銀河PWN0948+0022について,ある晩のみ非常に高い偏光度と数分スケールの変動を初めて捉え,この種の天体のジェットに迫るデータが得られた.また,同じ種類の天体を「すざく」X線衛星で観測した結果,3種類の変動成分が見られ,ジェット放射の分離に向けた重要な情報を得るとともに,広がった鉄ラインの兆候が検出され,ブラックホールの回転に関する情報が得られる可能性が出てきた.また,同じく新種のガンマ線活動銀河核である電波銀河の2つを,「すざく」衛星で観測した結果,ジェットからのシンクロトロン放射と思われる成分を見つけ,フェルミ衛星5年間のデータとともに解析を行ない,電波銀河の中では電子が高エネルギーまで加速されている特殊な天体であることを示した. SGDの開発は,本年度は搭載品を製造を開始した.カメラを取り囲むシールド検出器であるBGO+APDについては,製造されたものについてすべて性能試験を行ない,ほぼ問題ないことを確認した.また,その信号を処理するデジタル回路について詳細な試験を行なって,最終仕様を決定した.また,コンプトンカメラについては搭載品ではないが,初めてフルスペックのものが製造されたので,そのデータ解析を行ない,カメラの特性に問題がないことを確認し,搭載品製造に対するフィードバックを行なった. 将来軟ガンマ線偏光装置の開発では,SGDコンプトンカメラよりも位置分解能を良くするために,細かいピッチのシリコンストリップおよびシリコンパッドのセンサーが出来上がったので,基礎特性試験を行なうセットアップの立ち上げを行なった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
観測は順調に進んでいるが,SGDの開発において検証試験で出た不具合の対処のため,搭載品の製造開始が遅れている.さらに,ASTRO-H衛星打ち上げも2015年度末に伸びている.しかし,本科研費の研究期間内には観測できる見込みである.また,将来検出器の開発における観測シミュレーションはSGDのシミュレータを生かすことになるが,SGDのハードエウアー開発優先で進めたため,少し遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通りに進めていく.以下,特に来年度について述べる.観測の方は,引続きフェルミ衛星と可視偏光によるジェット天体の観測とともに,数100GHzでの電波偏光観測の実現を目指すべく,観測提案を行なう.SGD の搭載品の製造を完了し,各種試験および地上キャリブレーションを行なって,衛星に搭載させる.将来検出器用に設計したシリコンセンサーの基礎実験のセットアップを完了して,基礎特性試験を行ない,次のセンサー開発に向けたデータを出す.
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