研究課題
本研究課題は、野辺山宇宙電波観測所の45m電波望遠鏡用の45GHz帯新偏波受信機システムを開発し、CCS分子のゼーマン観測を行うことが目的であった。受信機システムは直線偏波システムを採用し、十分な周波数分解能を達成するためにソフトウエア分光計を開発した。分光計は60Hzの分解能を持ち、既存の野辺山システムSAM45の60倍もよい分解能を達成できた。受信機システムは、現在、通常のマッピング観測も含め、野辺山観測所の一般ユーザーの共同利用観測に提供している。このシステムを用い、おもにおうし座分子雲内にある高密度コアの中心に向けてゼーマン観測を実施した。ターゲットは、TMC-1(CP)、TMC-1(OH)、L1459、L1521Bのほか、CCSが強い、へび座にあるserpens south 星団形成領域付近の星なしコアの計5ターゲットに向けて行った。その結果、TMC-1コアにおいて約200マイクロガウスという強い磁場の検出に成功した。これは45GHzのCCSラインでは、初めての確度の高いゼーマン分裂の検出である。この磁場強度を用いて、TMC-1(CP)の力学状態を調べたところ、磁場がコアを安定に支えることのできる状態にあると推測された。TMC-1(CP)は星が生まれていないコアでCCSエミッションが強く、形成間もないコアであると予想されるが、星が生まれるには、磁場を拡散させる必要があることが示唆された。実際、このコアの近くに位置するTMC-1(OH)では、予備的な解析ではあるが、ゼーマン分裂は検出されず、CP点よりも磁場が弱いことが示唆され、磁気拡散が進んでいると予想された。この結果は、現在、投稿論文として執筆中である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Star Formation in Different Environments 2016
巻: 1 ページ: 100-100