研究課題
本研究の目的は、超新星残骸・活動銀河核などの高エネルギー天体の放射機構・粒子加速機構、宇宙線の起源を解明すること、さらにガンマ観測を通して暗黒物質探索を行うことである。本年度、以下の成果を得た。1、20 GeV~100 TeVのガンマ線を従来よりも一桁高い感度で大気チェレンコフ望遠鏡を用いて観測する次期計画CTAの口径23m望遠鏡に搭載する焦点面カメラについて、以下の開発を行った。(1)光検出器である、1.5インチ径スーパーバイアルカリ光電子増倍管の量産を継続した。(2)7本の光電子増倍管からの信号を2GHzで同時に波形サンプリングする回路を開発した。この回路には、低消費電力アナログメモリが使われ、デジタル化された波形データはイーサネットで転送される。(3)光電子増倍管1本毎の1次トリガー、続いて、光電子増倍管7本単位間の2次トリガー生成を、スペイン・ドイツグループと協力し開発した。2、MAGIC望遠鏡によるサブTeV/TeVガンマ線観測のデータを解析した。(1)矮小銀河Segue 1の2011-2013年の観測データを解析し、暗黒物質対消滅ガンマ線に対する上限値を得た。(2)かにパルサーのブリッジ放射を50 GeV以上で初めて検出し、そのスペクトルは2つのガンマ線パルス時P1、P2のものとほぼ同じ冪で表されることを発見した。この発見は放射領域の磁場構造についての情報を与え、磁気カスケードモデルで解釈すると、中性子星の光円柱付近の磁場でトロイダル成分が存在することを示唆した。(3)Fermi衛星が発見した未同定天体2FGL J2001.1+4352(その後、BL Lac型天体と判明)をMAGICで観測し、超高エネルギーガンマ線領域で初検出した(MAGIC J2001+435と命名)。その多波長スペクトルは、一つの領域内のシンクロトロン自己コンプトン放射で説明できる。
3: やや遅れている
大気チェレンコフ望遠鏡であるCTA口径23m望遠鏡の焦点に搭載する光電子増倍管からの信号を、高速で波形サンプリングする回路を開発し、本年度、仕様を最終決定し量産する予定であったが、回路の改良が必要となったため、開発および量産が遅れている。
CTA口径23m望遠鏡に搭載する高速波形サンプリング回路の開発を今後も続け、仕様を最終決定し量産する。当初計画よりも回路の開発が遅れているが、量産後の性能試験を極力自動化し期間短縮することで、当初計画通りに、カメラを完成できると考えている。
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Journal of Cosmology and Astroparticle Physics
巻: 2 ページ: 8
10.1088/1475-7516/2014/02/008
http://www.cta-observatory.jp/
http://magic.scphys.kyoto-u.ac.jp/