研究課題/領域番号 |
24244031
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
安東 正樹 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90313197)
|
研究分担者 |
山元 一広 東京大学, 宇宙線研究所, 助教 (00401290)
麻生 洋一 国立天文台, 重力波プロジェクト推進室, 准教授 (10568174)
高橋 竜太郎 国立天文台, 重力波プロジェクト推進室, 助教 (60270451)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 重力波 / TOBA / 中間質量ブラックホール |
研究実績の概要 |
本年度は、試験マス懸架系・能動防振装置を真空槽内に収め、レーザー干渉計による変動検出を行う装置を組み上げた。これにより、数Hzの低周波数帯で重力波歪み感度で10の-10乗 Hz(-1/2)の感度を実現した。これは、これまでのプロトタイプ装置の感度を更新する物であった。さらに、24時間の連続観測運転を行い、そのデータ解析も行った。中間質量ブラックホール連星の合体現象の探査を行った結果、それらの発生頻度に上限値を与えた。これらの上限値は、天文学的な意味を持つには遠いが、実際の観測から得られたものとしては、最初の物であった。また、背景重力波に対しても3Hz付近の周波数帯で、最初の上限値を与えた。1台の装置での観測であり、相関解析を行うことはできないため、上限値を与えるのみであったが、実際の観測から得られた上限値として意味を持つ結果を得た。プロトタイプ開発に際しては、試験マスの回転変動を他自由度でモニタする、という新しい方式を採用した。これによって、重力波源のパラメータ推定精度が向上するという解析を行い、その結果を論文として取りまとめた。 本年度の研究の結果、干渉計を構成する光ファイバに起因する雑音、および振り子の並進変動から回転変動へのカップリングによって感度が制限されている、という知見が得られた。また、それらを低減する方策の検討も進め、光ファイバではなく、空間光を利用した干渉計構成の設計検討を進めている。また、並進変動からのカップリングを低減するために、試験マスの平滑度やバランス調整の要求精度に対する検討を進め、十分に配慮すれば達成可能という見通しを得ている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の目的を超え、長時間の観測運転と重力波探査のデータ解析を行い、上限値を与えることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度までの知見を生かし、振り子懸架装置とレーザー干渉計設計変更を行う。その結果、重力波に対する感度を向上させることを目指す。また、低温系の開発も継続し、低温化でのねじれ振り子動作を実現する。
|