研究課題
本研究の目的は、単一光子から単一電子スピンへの量子状態転写を始めて実現することである。本目的に鑑み、最終年度となるH26年度は下記のような実施計画を立てた。①量子ドットに残された基底状態の単一電子スピンへの量子状態転写の実証。②転写後の電子は正孔との再結合によって崩壊することがないため量子メモリーとして最適であることを示す。③ポストセレクションによる転写の純粋化とその忠実度を評価。既にH25年度にInGaAs中の単一量子ドットと比較しダイヤモンド中の単一NV中心の方が制御性・安定性が遥かに高いという観点から、本研究の目的に向けて最適な物理系であると判断し、中間年度以降ではダイヤモンドNV中心を用いた実験を行ってきた。ダイヤモンドは、N型のみならずP型ドープにも成功し半導体特有の電流注入によるNV中心のLED発光も可能になるなど、半導体と呼んでしかるべきである。最終年度に得られた成果は以下である。①単一NV中心の基底状態の電子と入射する光子の量子もつれ状態を、吸収によって検出する量子もつれ吸収の実験に成功した(Phycal Review Letters掲載)。②上記手法を応用した独自の量子テレポーテーションの原理により、単一光子から基底状態の単一電子スピンへの量子状態転写の実験に成功した(Nature Photonics掲載)。③ポストセレクションによる転写の純粋化とその忠実度の評価を行い、90%以上の忠実度で量子状態転写の量子性を明らかにした(PLMCN発表)。④量子メモリーとしての性能を決める位相緩和時間を、独自の幾何学スピンエコーの手法で100倍近く延長することに成功した(Nature Communications掲載)。このエコー操作を繰り返し行うことで、同位体制御をしていない試料では世界記録となる室温で1.9ミリ秒の位相緩和時間を得た(QCript発表)。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nature Communications
巻: N/A ページ: N/A
Nature Photonics
Physical Review Letters
巻: 114 ページ: 053603
10.1103/PhysRevLett.114.053603
New Journal of Physics
巻: 17 ページ: 103012
10.1088/1367-2630/17/10/103012
http://kosaka-lab.ynu.ac.jp/