本研究では、鉄系超伝導体や重い電子系化合物などの強相関電子系物質において存在が明らかになりつつある、電子状態が本来の結晶が持つ回転対称性を自発的に破った「電子ネマティック」状態を、様々な新しい実験手法を駆使して明らかにした。特に、長年の謎であったウラン化合物における隠れた秩序相において、微小試料での測定が可能な磁気トルク測定による磁気異方性の高感度検出、放射光を用いた高次ブラック散乱による高分解能単結晶構造解析、サイクロトロン共鳴による有効質量の角度依存性測定、ピエゾ素子を用いた電気抵抗異方性によるネマティック感受率測定を組み合わせ、4回回転対称性を破る状態が実現していることを明らかにした。
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