研究課題
平成28年度は、マルチフェロイック物質をはじめとする種々のフェロイックおよびアンチフェロイック秩序状態におけるドメイン形成に着目し、マルチフェロイックドメイン、反強磁性ドメインなどといった各種ドメイン構造の観測さらにはその制御法の確立を図った。ドメインに関する具体的な成果としては、以下の2つが挙げられる。1.らせん磁気秩序に起因してマルチフェロイックな特性を示す六方晶フェライトBa1.3Sr0.7CoZnFe11AlO22を対象として、円偏光共鳴軟X線回折測定を実施し、2つの異なる磁気ドメイン構造の存在を明らかにした。その1つは従来から知られたらせん秩序に起因するキラルドメインに対応するが、もう1つはこれまで同物質では議論されたことのない共線的な反強磁性構造に起因するドメイン構造であることを提案した。2.らせん磁気秩序を示すマルチフェロイクスとしては強磁性・強誘電性を同時に示す稀有な物質であるMn2GeO4を対象として、同物質における複合ドメイン(強磁性ドメイン、反強磁性ドメイン、強誘電性ドメイン)の結合状態を偏極中性子散乱および現象論的理論のアプローチにより明らかにした。この結果は、特殊なコニカルらせん構造を持つマルチフェロイクスにおける電気磁気結合の振る舞いをドメインのレベルで明確に説明したという点で意義あるものである。1、2の成果のほかにも、稀有な室温電気磁気効果を示す物質であるCr2O3における電気磁気動作温度の向上や、正四角台塔と呼ばれる特異な結晶構造を持つBa(TiO)Cu4(PO4)4における磁気四極子起因の電気磁気効果を実現するなどの成果を挙げた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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