これまでに確立してきた誘導ラマン散乱過程の断熱操作技術をもとに、真空紫外域(< 200 nm)において、光周波数標準の周波数精度(13桁以上)をもつ、高強度・広帯域連続波長可変レーザー光源を実現する。間欠連続発振動作(Quasi-CW)と、連続発振動作(CW)の双方の可能性を追求する。出力は、前者においては > 10 uJ / pulse、後者においては > 10 mWを達成目標とする。また、双方とも10 THzを超える周波数可変域の実現を目指す。さらに、それらのレーザー光源をもとに、真空紫外域におけるレーザー分光技術の基礎を確立する。特に単一イオンの時計遷移と対を成す双極子遷移(150-170 nm)におけるレーザー分光技術の確立を第一義的に目指す。以上のことを目的に研究を進めた。媒質としたパラ水素気体のこの非線形光学過程における最適な温度密度条件を系統的に調べ、さらに、励起光および発生光の空間的なビーム形状との兼ね合いも含めて実験、理論の両面からその仕組みを明らかにした。また、その最適な条件において、広帯域誘導ラマン散乱光系列の発生をおこない、可視域、紫外域、真空紫外域のそれぞれに狙いを定めた、高効率発生を実験的に実証した。 また、この誘導ラマン散乱光発生を人為的に操作することで、より効率の良い発生が可能になるという新らしいアイディアを得て、その原理実証実験を低次の発生においておこなった。原理的に間違っていないという結果を確認することができた。
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