研究課題/領域番号 |
24244066
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
奥村 剛 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (80271500)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ソフトマター物理 / スケーリング法則 / 濡れ / 粉粒体 |
研究実績の概要 |
印象派の精神とは、ソフトマターの先駆的研究によりノーベル物理学賞を受賞した故de Gennes教授が、理論研究者を印象派画家にたとえた言葉で、枝葉末節に目をつぶりシンプルな物理的本質をえぐりだす精神である。本研究代表者は、この精神で研究を行い、理論・実験・シミュレーションの研究を複合して濡れ・表面張力現象や物質強度について研究し、シンプルで本質的理解をもたらしてきている。本研究では、一連の濡れの研究をさらに発展させ、粉粒体等へも研究を展開し、工学や企業の開発現場等で指導原理となり得るシンプルで本質を突いた理解と法則を明確に示すことを目的としている。具体的には主に以下のような研究を展開した。 1.滴(バブル)の動力学:液中液滴の融合における電場効果に関する研究、ならびに、あるオリジナルな実験系に現れる流体の特異形状と自己相似動力学に関する研究が大きく進んだ。 2.粉粒体の動力学:ブラジルナッツ効果の研究が格段に進み、さらに、新しい二つの実験系を構築して行った研究が進み、粉粒体の物理学に新しく複眼的な切り口で切り込むことができるようになった。 3.テクスチャー表面の濡れ:シンプルなテクスチャーにおける浸透現象とその応用研究について論文をまとめ、さらに、新たな実験系を組み上げて新しい研究を開始して順調に結果を得てきている。 4.その他:本研究課題のベースとなった基盤Bのメインテーマである破壊現象に関し、専門性レベルの異なる2報の招待レビュー論文を発表した。また、印象派物理学の精神に基づいて、スポーツの物理の研究に着手し、学会発表を行った。さらに、新たな視点から、ポリマーフォームシートの破壊の実験に着手し、学会発表等を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、新しい研究にいくつか着手し、それが大きく発展し、今後のさらなる研究の展開が非常に強く期待できる。また、関連研究での招待講演を数多く受け(H25年度に比べ倍以上に増加)、当該分野に大きなインパクトを与えつつある。さらに、IFが5を超える論文一報を発表し、さらに、もう一報、IFが5を超える論文誌にて、レフェリーの建設的指摘に従った改訂第2版が審査中である(その後、H27年4月8日論文掲載決定)。また、イタリアで行った、本研究内容を含んだselected oral talkは、講演後、聴衆から大きな反響があり、後日、主催者から特に選ばれて招待論文の投稿を打診された。
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今後の研究の推進方策 |
極めて順調に研究が進んでいる。以下のテーマに関する研究を、論文の発表を目指して、今後も展開していく。 (1)滴やバブルの動力学、(2)粉粒体の動力学、(3)テクスチャー表面の濡れ、(4)その他(スポーツの物理を含む)。 また、今後の研究のさらなる展開を目指し、新しいテーマの開拓にも貪欲に取り組んでいく。
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