研究課題
アポロ計画による月震データとGRAIL衛星や月レーザ測距による最新の測地パラメータ(月の質量、慣性モーメント、ラブ数k2、Q値)とを組み合わせ、マルコフ連鎖モンテカルロ法を用いて月の内部構造を推定する手法を開発した。 その結果、深発月震源より深い(1200 km以深)領域に低速度・低粘性層の存在が示唆された。この層の厚さは先行研究の結果より厚く、またその密度はより高かった。この深さにおける圧力を考えると、TiO2に富む組成が候補として考えられ、過去に表層付近で濃集した高密度鉱物が深部に沈み込んだ進化シナリオが支持される。種々の物理測定を組み合わせて天体内部構造を求めるモデルケースとしても、月内部構造の推定は重要である。受信機の広帯域化の基礎となるために製作した、Vivaldiアンテナのシステム雑音温度を測定した。製作したVivaldiアンテナはビーム幅が広いため常温雑音源と液体窒素を用いる一般的なホット/コールド法では測定が難しい。そこで、アンテナの周囲を覆う電波暗箱を製作した。これを恒温槽で90 ℃に温めて高温雑音源とし、高温と常温のホット/コールド法によりシステム雑音温度を測定した。これにより単体性能評価は完了した。また、設計、製作したアンテナのS帯の性能は要求値を下回っていたため、アンテナの再設計を行った。計算機シミュレーションによる性能評価を行った結果、S帯のリターンロスとビームパターンが改善されることを確認した。月など大気の無い天体表面のレゴリス特性を調べるための、反射率変化の測定実験を行った。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 4件)
Nature Geoscience
巻: 7 ページ: 569-572
doi:10.1038/ngeo2211
Icarus
巻: 235 ページ: 187-206
doi:10.1016/j.icarus.2014.03.021