研究課題/領域番号 |
24244077
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長濱 裕幸 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60237550)
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研究分担者 |
武藤 潤 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40545787)
清水 以知子 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40211966)
長瀬 敏郎 東北大学, 学術資源研究公開センター, 准教授 (10237521)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 東北沖地震 / 余効変動 / プレート境界地震 / 岩石変形実験 / 地殻変動 / ガス圧試験機 |
研究実績の概要 |
沈み込み帯を構成する岩石の摩擦の不安定性に関する実験を行った。石英や蛇紋岩、カンラン岩を使った模擬断層ガウジの実験から、摩擦の不安定性と封圧の関係、ガウジ量の関係を明らかにした。 固体圧試験機を用いた実験から下部地殻岩石(長石多結晶体)の変形機構が加えた水に大きく影響することが明らかになった。特に加える水が増加することで、脆性破壊から局所的な塑性変形が卓越し、強度が大きく低下する(無水のものの1/10程度)ことが明らかになった。また電子線後方散乱回折法により長石多結晶体の変形機構を明らかにした。 また圧電素子を用いた弾性波速度測定システムの構築を行った。圧電素子をガス圧試験機内に配置し透過法にて速度既知のセラミック試料を用いてシステムの校正を行い、間隙流体存在下での速度測定法を構築した。 また東北沖地震後の余効変動において、粘弾性緩和の寄与を評価するために東北日本弧島弧-海溝系のレオロジー構造を提唱した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、沈み込み帯での巨大地震を起こしたプレート境界断層の摩擦特性やその後の余効変動が起こるとされる島弧地殻深部の岩石の粘性流動特性を明らかにすることであった。平成25年度は、沈み込み帯を構成する岩石(蛇紋岩、かんらん岩、石英など)の摩擦特性およびその不安定性を明らかにした。また島弧下部地殻を構成する斜長石多結晶体の流動特性における水の効果を解明しつつある。さらに封圧下において、岩石の弾性波速度測定を可能にするシステムの構築を行った。さらに現在起こっている余効変動の解析に資するレオロジーモデルを構築することもできたため、上記と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
模擬断層ガウジの摩擦不安定性に関する実験を続け、摩擦の不安定性が何に起因するかを明らかにしていく。更に不安定すべりの際の動的挙動(ラプチャー速度や応力降下量)を岩石の種類および封圧などの関数として明らかにする。沈み込み帯を構成する堆積岩類(砂岩・泥岩)や結晶質岩類(斑レイ岩など)を対象に弾性波速度測定を行い、弾性波速度特性(圧力依存性と組織との関係)を明らかにする。 また沈み込み帯を構成する岩石試料の変形実験に有用な固体圧塩セルの応力校正実験を行う。さらに島弧下部地殻の代表的鉱物である灰長石多結晶体を用いて、レオロジー特性における流体(メルトや水)などの効果を明らかにする。
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