研究課題/領域番号 |
24244078
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
松本 良 明治大学, 研究知財戦略機構, 教授 (40011762)
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研究分担者 |
角和 善隆 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (70124667)
荻原 成騎 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50214044)
登尾 浩助 明治大学, 農学部, 教授 (60311544)
石浜 佐栄子 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 研究員 (60416047)
戸丸 仁 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80588244)
落合 博之 北里大学, 獣医学部, 講師 (90440156)
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研究期間 (年度) |
2012-05-31 – 2015-03-31
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キーワード | 表層ガスハイドレート / ガスチムニー / 音響異常 / 日本海東縁 / ハイドレートマウンド |
研究概要 |
海底表層にガスハイドレートが露出する海域の海底堆積物は海底下にもハイドレートが伏在すると考えられ、ガスハイドレートが分布しない場所の堆積物よりも音の伝播速度が大きくなると予測され、従来、この性質を利用して、伏在するガスハイドレートを探査しようと考えられた。しかし、研究者チームが実施した海底表層の音響的観測によると実際の堆積物の速度は異常に低い(約1km/s)ことが分かった。この異常は堆積物中に、速度の大きなガスハイドレートと、速度の著しく小さなガスが共存している事を示唆する。ガスハイドレートが生成する堆積物中にメタンガスが存在する事は、大変奇妙なことであり、この現象を実測データで証明し、低速度異常こそ表層ハイドレート発見の手がかりである明らかにすることが本研究の課題である。 従来、多くの場合、深海底堆積物の物性はピストンコアラなどで回収されたコアを船上あるいは陸のラボで測定したそのため、圧力減少や乾燥のためガスや水が抜けてしまい、深海底条件での真の物性測定はできていなかった。この問題を解決するには深海底の“その場測定”が不可欠である。初年度には、TDR(タイムドメインリフラクトメトリー法)を無人探査機(潜水艇)に搭載し、深海環境での含水率と気相率の測定を実施した。TDRは陸上の土壌の物性評価では一般的な観測機器であるが、深海底の条件に対処すべく様々な工夫をした。最も大きな問題は、海水中での測定の困難さである。電気伝導度のよい海水に囲まれているため、土壌、堆積物の特性が感度よく観測できるか否か、が課題であった。結果的には、センサーをゴムでカバーすることにより、海水の妨害をほとんど軽減することができた。海底観測後、測定点周辺の堆積物を回収しコアの密度測定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TDR装置は陸上の土壌の力学測定では一般的な観測装置であるが、これを水深1000メートル(100気圧)の環境で使用した経験、研究者チームが数年前に試験的に行ったのみである。今回、圧力と海水の影響を避けるため、同軸ケーブルの使用、センサーをゴムでシールするなど、いくつかの改良を行い、妥当な観測データをうることができた。この成功により、本装置を小型化してコアラ内に装着し、海底から数メートルの深度の物性測定を目指す装置作成の見通しがたった。音響速度測定については、技術的な課題を抽出して、詳細な設計をすすめており、25年度には装置の試作ができる見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
低速度異常の実測のための観測装置の試作機を作成するため、予備実験を行い、年度内には、最初の試作機を深海底に投入し、観測データの検証をおこなう計画である。音響観測とTDR観測を一つの観測装置に統合するために、装置の小型化が必須であるが、25年度中に設計を終わりたい。
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