研究課題
海洋のガスハイドレートに2つの異なる産状を確認した。海底面から数百メートルの深度の砂層に微粒子として発達するタイプと海底から数十メートル程度までの比較的浅い泥層中に塊状に発達するタイプである。後者は日本海に広く分布しており、これを表層型と呼ぶ。表層型のガスハイドレートを含有すると堆積物全体の平均伝播速度は大きくなる筈である。海底下、何メートルまでガスハイドレートが存在するかはその場の地温勾配と水深に依存し、これらを観測することでガスハイドレート分布の基底深度を推定できる。一方、海底下の実際のガスハイドレート分布深度は、音響的時間深度と堆積物の音の伝播速度から分かる。これらの観測データを統合して考察することにより、堆積物の音響速度が計算できる。上で述べたように、表層型ガスハイドレートが存在すると音速は大きくなる筈であるが、実際の観測データは、著しく小さな音速を示した。この発見は注目すべきパラドックスでありその原因は表層型ハイドレートの生成要件と密接に関係すると推定される。このパラドックスを実証的に確認するため、海底堆積物中にセンサーを挿入に、直接音速を測定することを計画した。初年度は機器の設計と予備試験、2年目に実際の海底で測定を行なったが、装置が不安定のため、正確な音速異常を確認出来なかった。26年度には装置を改良し、表層型ガスハイドレート分布海域において、同様の観測試験を行った。その結果、表層堆積物の速度は通常の海底堆積物の速度より明らかに遅く、海水(約1.5km/秒)よりも小さな値を示した。この試験により、ガスハイドレートを含有する表層堆積物の音速が予想に反して海水よりも小さい、という事実が検証された。海水よりも小さいということは、表層堆積物中に気泡(気体)が含まれていることを強く示唆し、フリーガスの存在が表層型ガスハイドレートの生成に必要であると推定される。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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