研究課題/領域番号 |
24244084
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
掛川 武 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60250669)
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研究分担者 |
古川 善博 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00544107)
関根 利守 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70343829)
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研究期間 (年度) |
2012-05-31 – 2015-03-31
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キーワード | 初期地球 / アミノ酸 / 衝撃 / ペプチド / リボース |
研究概要 |
生命起源に関する前生物的有機分子生成実験を初期地球の情報を生かしながら取り組むことが本研究課題の目的である。具体的には初期地球環境で最も頻繁に起った鉱物・水反応(隕石衝突、海洋堆積物続成作用など)に着目し最新鋭の分析機器を導入し、本組織でしか行えない実験を行う。24年度は一段式火薬銃を用いた衝撃圧縮実験、ガスフローラインによる衝突蒸気雲再現実験、高圧炉によるペプチド生成実験、高アルカリ条件でのリボース生成実験を行った。さらに液体クロマトグラフ質量分析計、元素分析計を新たに購入し東北大に設置すると同時に、衝撃実験、ペプチド生成実験生成物分析に関して効率化、高解像度化を図った。分析に関しては新規分析法を開発し、他機関で行えない解像度、分解能まで達する事ができ国際的アドバンテージを生む事ができた。それによって衝撃時のグリシンの生成条件、安定性に関するデータが世界で初めて得られた(東北大と広島大)。グリシンがアラニンに変換しアミノ酸の多様性が生じる事も分かった(広島大)。さらに衝突蒸気雲内部(1000℃、数Pa)においてもガス/鉱物反応によってアミノ酸が生成されうる事を示した(東北大)。モンモリロナイトなどの粘土鉱物を介して高圧高温(20MPa, 80℃)でアミノ酸がペプチドになる条件も新たに見いだした(東北大)。ホウ酸存在下でリボースが生成され、他の糖に比べて安定性が増す事が初めて実験的に証明された(東北大)。これら一連の実験は東北大学で提唱してきた「地球環境が生命材料物質を作った」とする説を支持するものであり、本研究課題が着実に目的を達成していることを示している。研究成果の一部は国際学会、国内学会(招待講演含む)で発表し、国際誌に投稿中でもある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たに購入した機器(島津製液体クロマトグラフ質量分析計、サーモフィッシャー社製元素分析計)の設定と分析手法開発にかなりの時間を割いた。これは計画通りで、それのよって世界最高高感度でのアミノ酸、ペプチド、リボースや糖類の定量分析が可能になった。合成実験も順調に進んでおり、24年度の目標は達成できている。幾つかの結果は、学会で公表してきている。また成果の一部は既に論文として投稿している。25年度から本格実施予定であったリボース/ホウ酸塩反応実験は前倒しで24年度から開始し、成果を得てきている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、目的通りに研究は進んでいる。多くの実験やそれに伴う分析は、時間を消費するものであるので、労働力が必要となってきている。25年度以降は研究支援者を雇用するなどして実験の効率化をはかることを検討している。
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