研究実績の概要 |
生命起源に関する前生物的有機分子生成実験を初期地球の情報を生かしながら取り組むことが本研究課題の目的である。具体的には初期地球環境で最も頻繁に起った鉱物・水反応(隕石衝突、海洋堆積物続成作用など)に着目し最新鋭の分析機器を導入し、本組織でしか行えない実験を行う。26年度は、前年度と同様に一段式火薬銃を用いた衝撃圧縮実験、ガスフローラインによる衝突蒸気雲再現実験、高圧炉によるペプチド生成実験、高アルカリ条件でのリボース安定化実験を行った。それによって炭酸を多く含んだ海水と隕石との衝撃時にグリシンやアミンが高収率で生成される事が世界で初めて実証された(東北大と広島大)。アンモニアを多く含めた実験では多種アミノ酸、核酸塩基の生成にも成功した(東北大)。さらに衝突蒸気雲内部(1000℃、数Pa)においてもガス/鉱物反応によって多種アミンが生成されうる事を示した(東北大)。モンモリロナイトなどの粘土鉱物を介して高圧高温(20MPa, 80℃)でアミノ酸がペプチドになる条件も新たに見いだした(東北大)。ホウ酸存在下でリボースが他の糖に比べて安定性が増す事、ケイ素やリン酸の影響はほとんどない事が初めて実験的に証明された(東北大)。研究成果の一部は国際学会、国内学会で発表た。特に国際的に権威のあるゴードン会議で招待講演を行った。またゴールドシュミット会議での講演はアメリカのメディアにも取り上げられ本課題の国際的重要性が明確になった。国際誌に投稿,査読中でもある。
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