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2014 年度 実績報告書

大気の無い天体表面で何が起きているか:イトカワ試料詳細分析と宇宙風化研究の新展開

研究課題

研究課題/領域番号 24244088
研究機関九州大学

研究代表者

野口 高明  九州大学, 基幹教育院, 教授 (40222195)

研究分担者 日高 洋  広島大学, 理学研究科, 教授 (10208770)
木村 眞  茨城大学, 理学部, 教授 (20142226)
岡崎 隆司  九州大学, 理学研究院, 助教 (40372750)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2017-03-31
キーワード宇宙風化 / イトカワ / 照射実験 / 透過電子顕微鏡 / 希ガス同位体分析
研究実績の概要

第2回国際公募で配布されたイトカワ試料の希ガス同位体分析:平成26年4から5月に九州大学の岡崎博士によって,4個のイトカワ粒の段階加熱による希ガス同位体質量分析が行われた。
第2回国際公募で配布されたイトカワ試料と照射実験試料のFIB切片のTEM観察(観察できず):平成25年8月に九州大学超顕微鏡センターにて,第2回国際公募で配布されたイトカワ試料と照射実験試料のFIB切片のTEM観察を試みた。研究代表者が茨城大学から九州大学に移動したのに伴い,約半年間真空デシケーターに試料を保管していたが,試料と共に保管していたMurchison隕石片から放出された硫黄を含む揮発性物質がFIB切片と反応し,CuとSからなる微粒子の集合体にFIB切片は完全に覆われてしまっていて,TEM観察できなくなっていた。
第2回国際公募で配布されたイトカワ試料と照射実験試料のFIB切片の再加工を平成27年2から3月に行い,TEM観察を九州大学総合理工学府のTEMを使用して行った。TEMによる組織観察は行うことができた。更に加工が必要な試料がイトカワ試料で2試料,照射実験試料で2試料あることも判明した。
平成27年3月に広島大学の日高教授の研究室を訪問し,前年度に日高教授と相談してNASAに配布申請を行って得られた新たな月レゴリス試料を受け取り,実体顕微鏡で観察を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

理由は2つである。茨城大学から九州大学に移動する前に,九州大学に移動後に九州大学のTEMを使って詳細に観察することができるようにあらかじめ加工を行ってあった全てのFIB切片試料が観察できなくなってしまっていたことが最大の理由である。FIB切片とMurchison隕石を同じ真空デシケーターに保管していなければこのような事態を避けられたと考えられるが,保管時には,共に非常に反応性が高い試料であるということが判明していなかった。両者を別に保管していれば,たとえ実験室がすぐに立ち上がらなくとも,8月以降,順調にデータを取得することができたはずである。痛恨の極みである。
第二の理由は,新たな実験室を構築する必要が生じたが,想定通りには進まなかったことである。想定では,夏休み中に全ての機器を整備し,後期から実験を行う想定であった。しかし,試料加工観察装置設置のための床補強工事が9月はじめになり,9月末に上記装置の修理・整備を行ったが,新たな修理必要箇所が見つかり,その整備に12月末までかかった。さらに,本研究費で購入した機器である低加速アルゴンミリング装置が稼働するのに1月半ばまでかかってしまった。微小地球外物質を取り扱うクリーンブース内に設置する装置も一通りそろったのが2月になってしまった。
これらの理由のため,今年度の研究は2月と3月にしか行うことができず,10ヶ月近くもの遅れが発生している。すでに低加速高分解能走査電子顕微鏡観察が済んでいた月レゴリス試料の研究も同様である。

今後の研究の推進方策

まず,イトカワ試料2個とTuxtuac隕石の照射実験試料2個から作成したFIB切片の再追加加工を行い,TEM観察を行う。8月までにこれら試料をISAS/JAXAに返却する必要があるので,これを年度当初は最優先する。
次に,新しい月レゴリス試料の低加速高分解能走査電子顕微鏡観察を開始する。この迅速な観察を進めるため,岡崎博士の研究室の学生に研究に参加してもらう予定である。今年度は,走査電子顕微鏡観察とFIB加工試料の選定と加工を行うこと,TEM観察を行うことを進め,次年度には希ガス同位体分析に集中する方針で進めたい。
第3回目のイトカワ試料国際公募は当初の研究計画では想定されていなかったが,この公募が行われたため,公募に応じた。この試料配付は9から10月と予想される。配布された場合は,年内はこの分析を最優先することになるであろう。
当初計画では4年目に行う予定であったMurchison隕石への照射実験が想定外に早くに行われているため,この件については,今年度にFIB加工とTEMおよび段階加熱法による希ガス同位体分析ができれば計画通りである。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Investigation of cutting methods for small samples of Hayabusa and future sample return missions.2014

    • 著者名/発表者名
      63.Uesugi, M., Noguchi, R., Matsumoto, T., Matsuno, J., Nagano T., Tsuchiyama, A., Harada, S., Yokoyama, K., Yodo, Y., Takeda, N., Yada, T., Yakame S., Karouji, Y., Ishibashi, Y., Nagao, K., Nakamura, T., Naraoka, H., Noguchi, T., Okazaki, R., and Yurimoto, H.
    • 雑誌名

      Meteoritics Planet. Sci.

      巻: 49 ページ: 1186-1201

    • DOI

      10.1111/maps.12322

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Sylvite and halite on particles recovered from 25143 Itokawa: A preliminary report.2014

    • 著者名/発表者名
      64.Noguchi, T., Kimura, M., Hashimoto, T., Konno, M., Nakamura, T., Zolensky, M. E., Tsuchiyama, A., Matsumoto, T., Matsuno, J., Okazaki, R., Uesugi, M., Karouji, Y., Yada, T., Ishibashi, Y., Shirai, K., Abe, M., and Okada, T.
    • 雑誌名

      Meteoritics Planet. Sci.

      巻: 49 ページ: 1305-1314

    • DOI

      10.1111/maps.12333

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Mineralogy of four Itokawa particles collected from the first touchdown site.2014

    • 著者名/発表者名
      65.Noguchi, T., Bridges, J. C., Hicks, L. J., Gurman, S. J., Kimura, M., Hashimoto T., Konno, M., Bradley, J. P., Okazaki, R., Uesugi, M., Yada, T., Karouji, Y., Abe, M., Okada, T., Mitsunari, T., Nakamura, T., Kagi, H.
    • 雑誌名

      Earth Planet Space

      巻: 66 ページ: 124-134

    • DOI

      10.1186/1880-5981-66-124

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] はやぶさ試料の電子顕微鏡学2014

    • 著者名/発表者名
      野口高明
    • 学会等名
      日本顕微鏡学会
    • 発表場所
      幕張メッセ
    • 年月日
      2014-05-13
    • 招待講演

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公開日: 2016-06-03  

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