研究課題
平成26年度は、1950年以前の海洋の水温塩分変動を復元するために、フィリピン、インドネシア、琉球列島石垣島より採取した現生ハマサンゴ骨格の長尺柱状試料の分析未了区間について分析を進め、気候指標として、Sr/Ca比に加え、Mg/Ca比、U/Ca比等を分析して、特に温度と成長速度への共依存性を解析した。また、これらのサンゴ骨格の間接指標について、化石サンゴについての検討を実施した。豪州沖グレートバリアリーフ(GBR)で実施されたIODP Exp. 325では、最終氷期最盛期を含むサンゴ礁堆積物が掘削された。しかし、ハマサンゴ化石は少なく、ニオウミドリイシ属(Isopora spp.)が多く含まれていた。ハマサンゴ属は年輪が明瞭で月単位の時系列記録が得られるが、ニオウミドリイシ属は複雑な骨格成長様式を持ち、数年分の骨格を混合したバルク試料を採取して年平均値を議論する方法を採用した。薄片による二次生成物の有無、粉末X線解析による方解石含有量などにより試料の続成変質を評価して、良質の試料のみ選択した。その結果、GBR北部では最終氷期最盛期から融氷期に掛けての過去2万年間の水温上昇は約5℃と推定された(Felis et al., 2014)。ニオウミドリイシ属骨格組成を用いた水温復元能力を確認するため、沖縄産のニオウミドリイシを用いて水温21~30℃の5段階で約1ヶ月間の恒温飼育実験を行った。骨格の酸素同位体比は水温と直線関係を示し、水温依存性はおよそ-0.15‰/℃で、ハマサンゴ属と類似している(Nishida et al., 2014)。この結果は、ニオウミドリイシ属を用いた古環境解析の有効性を示すものである。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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