水溶液中での化学過程を電子レベルで理解するために、液体の超高速光電子分光を開発し水和電子の研究に適用した。液体を細いキャピラリーから真空中に放出し、フェムト秒レーザーを用いたポンプ-プローブ法を行い、発生した光電子の運動エネルギー分布を飛行時間型エネルギー分析器で測定する方法を開発した。光電子の運動エネルギーだけで無く角度分布も測定する方法論を世界で初めて実現した。水和電子は角度異方性を示さないが、電子を与える側の溶質の局在励起状態は光電子放出に異方性を示した。溶質は液体表面に濃縮されているが、水和電子は液面で無くバルク溶液側に生成されることが明らかになった。
|