研究課題/領域番号 |
24245009
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大石 徹 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90241520)
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研究分担者 |
此木 敬一 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40292825)
海老根 真琴 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70545574)
鳥飼 浩平 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20456990)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マイトトキシン / 有機合成化学 / 生物活性 / 構造活性相関 / 梯子状ポリエーテル |
研究実績の概要 |
平成26年度は、平成25年度に引き続きマイトトキシン(以下MTXと略す)のW-Z環部の合成を検討し、新規な二環構築型収束的合成を確立した。すなわち、リチウムアセチリドとアルデヒドのカップリングにより生じたアルコールを酸化してイノンに変換した後、ストライカー試薬によって飽和のケトンへと誘導した。ヒドロキシケトンの脱水反応、ヒドロホウ素化-酸化、続く環拡大反応による7員環構築をして、W-Z環部の構築に成功した。さらにMTXの疎水性部分であるQRS環部の化学合成を検討した。ワインレッブアミド誘導体とフラン誘導体のカップリング反応により生じたケトンを野依不斉水素移動反応によりジアステレオ選択的に還元した後、アハマトヴィクツ反応を経由してピラノン誘導体へと変換した。次に、核間メチル基の導入を検討した結果、カルボニル基の存在下にメチルアセタールのみをメチル化できる方法を見出した。さらに、6員環の構築、オレフィンのジヒドロキシル化を経て6/6/6縮環構造を構築した。さらに環拡大反応を行うことで6/6/7縮環構造を構築し、MTXのQRS環部を合成することに成功した。QRS環部の生物活性を評価した結果、MTXによって引き起こされるCa2+流入活性をIC50値44マイクロモーラーで阻害することが明らかになった。また、6/6/6縮環構造であるQR(S)環部についてもIC50値240マイクロモーラーで阻害することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定通りW-Z環部の構築に成功し、さらにQRS環部およびQR(S)環部の化学合成にも成功し生物活性の評価も行うことができたため、当初の計画よりも進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,昨年度に引き続きマイトトキシン(以下MTXと略す)の疎水性部分であるW-F’環部,およびQ-U環部の化学合成を行う。MTXに代表される分子長の長い梯子状ポリエーテルを合成する上で,フラグメントを連結していく収束的合成法の開発は必要不可欠である。本申請者は,既にα-シアノエーテルを経由する二環構築型収束的合成法(α-シアノエーテル法)を独自に開発しているので,この方法論を応用する計画である。すなわち,MTXの疎水性部分であるW-F’環部分は,α-シアノエーテル法を用いることでC’-F’環部フラグメントとW-Z環部フラグメントからB’C’環部を構築しつつ収束的に合成できると考えた。また,四環性化合物であるW-Z環部フラグメントは,新たな二環構築型収束的合成法を開発し,W環部とZ環部から収束的に合成する計画である。また,Q-U環部の合成については,新たに三環構築型収束的合成法を開発する計画である。Q環部とU環部から収束的に合成する計画である。
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