研究概要 |
I)多孔性D/A-MOFの開発と活性分子の化学的吸脱着による物理・化学現象の協奏 Paddlewheel型[Ru2II,II]錯体とTCNQ誘導体とのD2A型ネットワーク化合物を合成し、溶媒分子の吸脱着及び、分子挿入について検討した。TCNQ分子の還元電位と[Ru2II,II(O2CR)4] (R = R’-phenyl)の酸化電位は置換基で調整可能な位置にあり、電荷移動集積体の合成は合理的に行える。R’をF、Cl、Me、MeOで置換した新規の[Ru2II,II]を合成し、幾つかのTCNQ類との反応により、それぞれのユニットのHOMO/LUMO差に応じた電荷移動をもつD2A型集積体を得た。それにより、電荷移動における相図を得ることに成功した。また、一電子移動型D2A化合物は導電性分子磁石であり、多孔性物質でもある。幾つかの化合物でガス吸着能について検討を開始している。 II)多孔性RA-MOFの開発と活性分子の化学的吸脱着による物理・化学現象の協奏 高還元剤である[Ru2II,II]とピラジンやフェナジンとの一次元錯体は、一次元鎖が束となってその隙間に一次元性の細孔を作る。高還元能を有するD-MOFについて一酸化窒素をゲストとする、ホスト・ゲスト相互作用に基づく特異的、選択的吸着を発見した。ホスト・ゲスト相互作用は、ガス吸着in situ赤外分光法により確認することに成功した。このNOガスにおけるホスト・ゲスト相互作用と選択的吸着についての詳細な測定のために、平成24年度の予算を繰り越しし、平成25年度の前半で使用した。この結果を受けて、関係論文を3報投稿するに至っている(そのうち1報は「掲載受理」の状態)。
|