本研究プロジェクトは、“物理的応答”としての磁気秩序、電子輸送、誘電応答のみならず、“化学反応”としてのガス・小分子の化学的吸脱着をも物性の一つに加えた、マルチな協奏的多重機能を、D/A系の導電性分子磁石や高酸化還元能を有する分子格子で実現することを目的としている。その一つの結果として、電子ドナー性を高めたpaddlewheel型ルテニウム二核(II, II)錯体を基にしたドナー型鎖状化合物で、一酸化窒素(NO)に対し、ホスト・ゲスト相互作用に基づく選択的な吸脱着を見出した。また、その相互作用による電気伝導性の向上やゲート開閉型の吸脱着を構造変化に起因する誘電応答として捉えることに成功した。
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