研究課題/領域番号 |
24245026
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
澤本 光男 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90150325)
|
研究分担者 |
大内 誠 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90394874)
寺島 崇矢 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70452274)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 精密重合 / ラジカル重合 / 触媒 / レドックス / 水中重合 / 鉄 / 立体規則性 / 配位子 |
研究概要 |
本研究計画は,独自の発想により「高活性レドックス触媒による超精密ラジカル重合」を実現し,これに基づいて,新たな精密重合を開拓し,これまで高分子化学で合成が困難とされてきた種々の次世代機能性高分子の精密合成を目的とする。特に,触媒開発を通じて下記のような精密重合の実現を目指している。 (1)持続型高活性精密ラジカル重合:希少金属元素によらない遍在金属元素である「鉄」による持続型高活性触媒 (2)環境低負荷精密重合プロセス:有機溶媒に代えて,環境低負荷な水中での精密重合への高耐性触媒 (3)立体特異的精密ラジカル重合:従来のラジカル重合では不可能であった立体構造と一次構造を同時に制御する触媒 (4)非共役モノマー群の精密重合:酢酸ビニル,塩化ビニル,α-オレフィンなどの不安定ラジカルを与える重合を制御可能な触媒 平成25年度は,鉄触媒とフェロセン助触媒の組み合わせにより,(1)の高活性鉄触媒で大きな成果を得た。また,(1)と(2)を融合させて,アルコール溶媒でも高活性を示す鉄触媒,フェロセン助触媒を用いた高活性乳化重合を展開し,実用性の高い触媒系を見出しつつある点は特筆に値する成果である。また,(4)に対して,配位子と添加物の組み合わせにより,酢酸ビニルの重合に対する触媒活性が向上することを見出した。これら知見を活かして,例えば低温でも活性を示す触媒を開発することで,立体構造制御(3)への展開が見込まれる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
金属錯体の触媒機能において重要な役割を果たす「配位子」,組み合わせる「助触媒」や「添加物」に対して独自に分子設計を行うことで,主触媒の一電子レドックスを伴う触媒活性を操り,鉄触媒と水中重合触媒の高活性化を実現した。また,非共役モノマーに活性を示す鉄触媒系も見出し,現在までの研究はおおむね順調に進展していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
組み合わせる配位子,助触媒,添加物の役割を調べることで,リビングラジカル重合触媒の高活性化につながるレドックス特性を明らかにし,安価で少量でも働き,水中でも活性を示すような,より実用性の高い高活性化触媒系の開発につなげる。
|