研究課題
基盤研究(A)
今年度は単分子接合の熱起電力計測システム、ショットノイズ計測システムが無事に立ち上げることができた。また、電気伝導度とラマンの同時計測により、単分子接合の構造揺らぎを実時間でとらえることに成功した。そして、電気伝導度計測と非弾性トンネル分光を組み合わせることで、ピラジンを用いた単分子スイッチの計測にも成功した。ピラジン単分子スイッチの研究では、電極金属としてPtを用い、極低温超高真空下において自作のMechanically Controllable Break Junction装置を用いて実験を行った。MCBJにより分子存在下でPt電極線の破断を行い、破断直後に形成されるナノギャップにN2、ピラジンを導入することで、単分子接合を作製した。作製した単分子接合の電気伝導度及び、電気伝導度の電極間電圧依存性をin-situで測定した。ピラジンを導入した場合にはコンダクタンストレースにおいて1 G0と0.3 G0にプラトーが観測された。1 G0と0.3 G0の電気伝導度を示す構造が優先的に形成されることが示された。それぞれの電気伝導度領域でスペクトルを計測した。1 G0付近の電気伝導度領域では60meVの振動のモードが、0.3 G0付近の領域では40 meVの振動モードが観測された。1 G0付近の電気伝導度を示す接合では分子-電極間の相互作用が強いため、0.3 G0付近の電気伝導度を示す接合に比べて振動エネルギーが大きくなったと考えられる。また、電極間距離を一定に保った場合、二つの電気伝導度領域を揺らぐ様子が観測された。二つの配向の間の構造相転移に対応していると考えられる。
2: おおむね順調に進展している
単分子接合の熱起電力計測システム、ショットノイズ計測システムが無事に立ち上げることができた。また、STMやMCBJを用いて、単分子接合の電子伝導特性や構造に関して一定の成果が出ている。
今後、単分子接合の熱起電力計測システム、ショットノイズ計測システムの評価を行う予定である。ただし、液体Heの供給がストップしたので、実験計画を変更する予定である。
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