研究課題
平成25年度では、新規な共役分子骨格を構築し、電気伝導性を向上するとともに、ポア構造を精密に制御することで、共役構造による電解質との相互作用を強め、高いエネルギー密度と出力密度を同時に達成できる共役多孔性高分子物質群の創出を目指した。具体的に、下記の成果を得られた。酸化還元が可能な新規なモノマーを設計し、イミドユニットを有する一連のモノマーを合成した。これらのモノマーを用いて、重合反応を行い、酸化還元が可能な多孔性共役高分子を合成した。紫外・可視吸収スペクトルや赤外吸収などを用いて、結合状況や共役状態を調べた。また、ガス吸着を用いて多孔性を評価した。これらの共役高分子を用いて、電極としての基本性質を調べた。その結果、電解質中において酸化還元が可能であることを明らかになった。多孔構造による電解質イオンの取り込みが可能かどうかを検討した。実際、Liイオン蓄電池を構築し、その蓄電能力を評価した。酸化還元ユニットを内蔵した共役多孔性高分子は優れた蓄電機能を示した。以上の結果をさらに、種々の共役多孔性高分子に展開させ、それらの蓄電機能を検討した。これらと関連して、酸化還元ユニットを持つ結晶性多孔性高分子の構築に成功し、それらを用いて、Liイオン電池への応用を検討した。その結果、優れた蓄電能力、優れた安定性、充放電サイクル安定性などを確認することができた。結晶性多孔高分子は、新しい電極材料として可能であることを示唆している。さらに、昨年度では、多孔性高分子を用いた発光材料や、触媒材料などを開拓し、機能性材料としての可能性を拡げた。
2: おおむね順調に進展している
当初計画した通り、研究を進展している。種々の新しい多孔性高分子電極材料の合成に成功した。また、分子設計の指針を明らかにした。
今後は、蓄電に関して、引き続き検討していく。構造の設計をベースに、機能のさらなる向上を目指して、進めていく予定。
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