研究課題
平成26年度は、原子配列構造に起因した遷移金属酸化物中の電荷・スピン・軌道の相互作用と、それらに基づく電気・磁気・光学的特性を包括的に検証することで研究全体を総括した。まず、LiTi2O4薄膜の電気化学的ドーピング法を開発し、可逆的な超伝導-絶縁体転移を確認するとともに、Li組成に依存した超伝導ドームの存在を初めて明らかにした。本手法をWO3薄膜に適用し、フォトクロミズムに対応した金属-絶縁体転移を確認した。上記の結果から、本手法は、電荷状態と電気・光学的特性を直接結びつけて物質機能を開拓するために有効な手段であると結論した。次に、昨年度の課題であるX線磁気円二色性分光測定(XMCD)を実施し、マクロな磁化特性とスピン配列構造を関連付けて磁性の起源を解明した。具体的には、本研究で新規に合成したダブルペロブスカイトLa2MnFeO6に対して、XMCDならびにX線光電子分光・X線吸収分光測定を実施し、Mn/Feサイトの反強磁性的なスピン相互作用と磁化特性のオーダー度(MnとFeの格子サイトにおける秩序度)依存性を説明することに成功した。また、研究全体を通して5つ目となる新奇ダブルペロブスカイトのSr2CoRuO6の合成に成功した。さらに、可視光応答型光触媒として有望なα-Fe2O3に対して、配向制御した薄膜を合成し、光水分解反応中にインピーダンス解析を行った。その結果、光キャリアのダイナミクスが面方位に劇的に依存するという予想しなかった結果が得られた。また、Fe系複酸化物であるLaFeO3とSrTiO3のヘテロ接合で界面分極が光キャリアの生成効率に与える影響を明らかにした。上記に加えて、LaGaO3系深紫外発光材料の可能性を検討し、室温バンド端発光を確認した。バンド端発光は他のGa系酸化物では全く見られないことから、今後検討を進めることで新しい深紫外発光材料の開発が期待できる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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