研究課題
本研究では、高分子材料物性の高度化を行う目的で、高分子の結晶化過程において非平衡中間体を経由させることによりこれまでにない構造を実現して物性向上を目指している。その方法としては、(1)スピノーダル型機構を経由する結晶化、(2)流動に誘起される「非平衡中間体」とシシケバブ形成、(3)アイソタクチックポリプロピレンやポリブチレンナフタレートの安定メゾ相を経由する結晶化過程を研究し、その実現を目指した。当該年度においては、高温で生成するアイソタクチックポリスチュレンのメゾ相(非平衡中間体)に存在する少量の融点微結晶について、放射光X線マイクロビーム測定によりそのサイズ、分布、量について定量的に明らかにし、シシケバブ生成との関わりを調べて論文とした。延伸誘起される結晶化については、前年度Spring-8にレーザー延伸装置を持ち込むことにより実験を行った。ポリエチレンテレフタレートにおいてはレーザー延伸直後のメゾ相が生成し、それを経由して繊維状になりながら結晶化が進むが、その生成過程が温度や延伸速度などの繊維化条件によりどのように影響されるかを調べ、論文とした。ポリエチレンの延伸過程におけるシシケバブ生成については、中性子散乱施設(J-PARC/MLF)の事故のため、実験が延び延びになっていたがH28年度の実験によりその分子量効果を調べ、延伸過程で低分子量成分がシシに取り込まれていくこと、さらにはその可能な機構を明らかにした。これまでの実験と合わせて論文とした。全期間を通しての知見をまとめ、中間体を経由するけ高分子結晶化を工業的にどのように活かしていくかの指針を明らかにしていく。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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