研究課題
今年度は、Mn系垂直材料とCo1-xFex合金、CoFeB合金、Heusler合金の積層構造電極を作製し、磁気抵抗効果の増大を目指して研究を行った。MnAl or MnGa/Co1-xFex積層膜については、CoリッチのCoFe合金を積層することでMn系垂直合金と磁化が反平行結合する新しい現象を見出した。また、反平行結合により垂直磁気特性が改善することが分かった。MnAl/Co積層膜のTEM観察の結果から、MnAl層にCoが固溶してL10規則構造を有する(MnCo)Al合金となっていることが分かった。この合金化が垂直磁気特性の改善につながったと考えられる。この結果を受けて、MnをCoで10%程度置換した(Mn42Co4)Al54組成の薄膜作製を行った。その結果、L10規則度が高く、かつ、良好な垂直磁気特性を有する新しい高磁気異方性垂直磁化膜の創成ができた。また、開発したそれぞれの積層電極を用いたトンネル磁気抵抗素子を作製して磁気抵抗比の評価を行った。その結果、MnAl/CoFeB積層電極で16%, MnGa/CoFe積層電極で80%の磁気抵抗比が室温において観測された。当初の目標であった100%には届かなかったが、それに近い値を達成することができ、開発した材料系の有用性が示された。また、MnGa/Heusler合金積層膜については、種々のホイスラー合金を積層させた結果、Co2MnSi合金を積層させた場合に最も優れた垂直磁気特性が得られ、またホイスラー合金層を1 nm程度まで薄膜化してもその特性を維持することができた。CPP-GMR素子については、前年度までにCo2FeMnSi電極素子において得られた80%の磁気抵抗比を超える値は観測できなかったが、Co2MnSi/Cu/Co2MnSi素子において、スピン注入磁化反転の観測に成功した。反転電流密度は2.1×106A/cm2であり、当初の目標であった1×106A/cm2に迫る値を得ることに成功した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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