研究課題/領域番号 |
24246003
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鷲尾 勝由 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20417017)
|
研究分担者 |
櫻庭 政夫 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (30271993)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 結晶成長 / 電子デバイス / ゲルマニウム / 機能融合 / コミュニケーション |
研究概要 |
本研究では、サーファクタント媒介による緩和Ge薄膜結晶の形成技術を確立する。本年度は3年計画の第1年度として、抵抗加熱と電子ビーム加熱を併用した特殊仕様の半導体薄膜堆積装置を導入し、Ge上にC超極薄膜サーファクタントを積層する手法と、Ge/C積層構造における各層厚の構成が転位発生メカニズムに与える影響を検討した。 サーファクタントとして用いるCは0.01から1MLの高精度な薄膜成長制御を行った。超極薄膜サーファクタントとしてのCの堆積では、電子ビームのパルス的照射蒸着と原料セル容器のシャッター開閉を連動制御し、ごく短時間の原料供給を可能とする手法を検討し、0.01MLまでの超極薄膜サーファクタント形成手法を確立した。Ge/C積層構造の各層厚の構成に関しては、検討すべきパラメータの中から、C成長膜厚とその上部のGe膜厚が主要因子であることを示した。これは、サーファクタント媒介による緩和Ge薄膜結晶の形成では、転位を主にGe/Si基板界面に局在化して、結晶欠陥の閉じ込めを狙っているからである。C被覆率によってGeドット成長に代表される3次元成長から2次元のアモルファス層成長や多結晶成長に大幅に変化し、C-Si界面での結合の影響が大きいことが明確になった。 これらの結果は、来年度以降、第1層Geの初期成長界面に強い歪み応力を誘引した平坦なGe成長や上層Ge膜への貫通転位伝達抑制などの手法を開発するための基盤技術として期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定の通りに抵抗加熱と電子ビーム加熱を併用した特殊仕様の半導体薄膜堆積装置を導入し、蒸発温度が非常に高温であるCの固形体表面に、電子ビームを当てて昇華させ、サーファクタントとして用いるCを0.01から1ML の高精度に薄膜成長制御できた。その結果、Ge/C積層構造の各層厚の構成に関して、C成長膜厚とその上部のGe膜厚が主要因子であることを示し、C被覆率によってGeドット成長に代表される3次元成長や2次元のアモルファス層もしくは多結晶成長が見られ、C-Si界面での結合の影響が大きいことを明確にした。また、サーファクタント媒介による緩和Ge薄膜結晶の形成において、転位を主にGe/Si基板界面に局在化して、結晶欠陥の閉じ込めを実現できる可能性を示した。
|
今後の研究の推進方策 |
緩和Ge結晶の薄膜化に向けて、(1)不活性ガスによるSi基板表面のダングリングボンド・フリー化を行い、第1層Geの初期成長界面に強い歪み応力を生じさせることで、平坦なGe成長を行う。(2)貫通転位が上層のGe膜に伝達しないように、サーファクタントであるC膜厚を調整し、緩和Geの格子定数を引き継ぐように堆積する。(3)Si基板加熱の温度傾斜と最高加熱温度を、転位アレイがGe/Si界面に局在するように最適化検討し、第1のC/Ge層形成と加熱後のGe緩和率を50%以上にする。(4)以降のサイクルでは、Ge成長界面がサーファクタントのCとなるが、上記の同様の結晶欠陥抑圧と格子緩和に鑑みて、 各サイクルで10%程度の緩和が実現するように、徐々にCの堆積を0.01MLにまで減少する。以上のことから、成長界面応用と転位発生メカニズムとの関係を、「サーファクタント媒介」において系統的に実験検討するとともに、物性論的な体系化を行う。
|